2011年3月6日日曜日

フィリピンにおけるバイオ燃料生産が地域の食糧生産を脅かす

 FOEのメールマガジン【Vol.241】(2011.3.1)が、伊藤忠と日揮が中心となって、フィリピンのイサベラ州でおこなっているバイオ燃料生産の問題を取り上げている。[1]
  この報告によると、事業者側は「多くの未利用地がある」という理由でこの土地にエタノールの原料となるサトウキビの作付けを拡大する計画であるという。
 しかしながらこれに対して、地域の農民や先住民族が土地を奪われると反対の声を上げ始めているとのことである。
 既にこれまで耕作してきた土地が地元有力者の名義でバイオ・エタノール事業者に貸し付けられてしまったケース、合意なしに農地の調査が強制的に行われたケースが出ているという。

 この事業については既に11月24日付けで農林水産大臣及び外務大臣宛に質問状を送付しているが、農林水産省は1月24日付で次のように回答している。
「(食料安全保障のための海外投資促進に関する指針)は、食料安全保障を確保する観点から、海外における食料生産のための投資を対象とするものです。なお農林水産省としては、本件のようなバイオエタノールのための投資についても、食料安全保障に影響が生じることがないかどうか情報収集を行っていきたいと考えます」[2]

 3月5日の時点で、このバイオエタノール生産事業の現地住民への影響について、農林水産省、外務省、伊藤忠、日揮のサイトにおいて、どのように現地の状況が把握されているか言及はされていない。
 
 つまりこのような法的拘束力をもたないガイドラインでは、現地の問題について適切に情報収集を行い対処することができないのである。
 今後、再度、質問書を送付するとともに、地域住民の土地への権利を守るために適切な対応を取ることを求めていく必要があると考える。

 開発と権利のための行動センター
 青西


[1] 国際環境NGO FoE Japan ニュースマガジン【Vol.241】2011.3.1
 http://archive.mag2.com/0000049531/20110301205028000.html
[2]  海外農業投資指針の運用について
http://landgrab-japan.blogspot.com/2011/01/blog-post_8590.html
質問書への回答
http://landgrab-japan.blogspot.com/2011/01/blog-post_26.html

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