2011年3月9日水曜日

日本企業のバイオ燃料生産に抗議の声-サン・マリアノ町の農民および先住民族 大規模な土地収奪に強く反対

FoEJapanのサイトに掲載されている情報の転載です。次のサイトよりアクセスできます。

http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/activity.html

 

フィリピン農民運動(KMP)
イサベラ州農民組織(DAGAMI)
フィリピン農村伝道組織(RMP)


プレスリリース
2011 年2 月23 日
サン・マリアノ町の農民および先住民族
大規模な土地収奪に強く反対

 2011 年2 月20~23 日の4 日間にわたり、イサベラ州農民組織(DAGAMI)およびフィリピン農民運動(KMP)は、フィリピン農村伝道組織(RMP)の協力の下、マニラからの現地調査団の派遣を行なった。イサベラ州サン・マリアノ町の13 の村から、少なくとも400 人の農民および先住民族が、(同町の)デル・ピラー村で行なわれた活動に参加した。派遣調査は、特に、バイオエタノール事業の実施地域に含まれているコミュニティーの農民の現状と要求を知ること、また、様々なセクターからの支援(があること)を(地元の農民に)示すことを目的として行なわれた。

 日本の大企業2 社、すなわち、伊藤忠および日揮が、台湾企業GCO およびフィリピン企業とパートナーを組み、先ごろ設立した合弁会社Green Future Innovations, INC.(GFII)は、サトウキビを原料としたエタノールの生産・売却を行なうことになっている。サトウキビの苗木場やプランテーションを準備するため、GFII とパートナーを組む会社Ecofuel Land Development, Inc.(ELDI)も別途設立された。サン・マリアノ町長エドガー・ゴー氏によれば、バイオエタノール精製工場は2012 年3月までに操業を開始するということだ。

 今回の現地調査により、バイオエタノール事業のためのサトウキビ・プランテーションの対象にもなっている地域で、現在、大規模な土地収奪が広く見られることがわかった。農民および先住民族の聞き取りや情報共有に基づけば、変則的な土地権利書の発行や、農民の土地に対するフィリピン・ランドバンク(LBP)による「抵当物受け戻し権喪失手続」、また、(包括的農地改革プログラムに基づく)「土地所有裁定証書(CLOA)」の取り消しなど、近年、様々な形態(の土地収奪)が、より積極的かつ広範囲で行なわれている。また、米、コーン、野菜、果樹等からサトウキビへの作物転換のケースも起きている。現地調査ではまた、特に、(バイオエタノール)事業への反対が強くなってきている地域において、軍隊の駐留が増えていることも認められた。


 KMP 事務局長ダニロ・ラモスは、「農民および先住民族が何十年にもわたり、彼らの土地を耕してきたことを調査団は確認した。しかし、ある個々人らが最近になって現れ、彼らの土地の所有権を主張している。パンニナン村では、農民に分配されたCLOA に対し、LBP による『抵当物受け戻し権喪失手続』が今にも開始されようとしているケースが、60 件近くある。(サトウキビ・プランテーションの)農業労働者らは、食費手当て等もなく、一日12 ペソ(訳者注:約24 円)から57 ペソ(訳者注:約114 円)くらいの賃金しか受け取っておらず、さらに悪いことには、何週間も賃金の支払いが遅れていることを彼ら自身の口から明らかにした。」と述べた。


 DAGAMI サン・マリアノ町支部の代表ジョニー・ヤダオによれば、こうした問題に意見を述べてきたDAGAMI のメンバーらはまた、Pantawid Pamilyang Pilipino Program (4Ps)(訳者注:フィリピン社会福祉開発省による貧困削減プログラム)の下で行なわれている「条件付の補助金譲渡(CCT)」の受領予定者リストから名前を削除すると脅されている、ということだ。

地元の自治体によれば、サトウキビ・プランテーションとして使われるのは、食料用の作物が植えられていない未利用地のみということだ。しかし、調査団の現地訪問、また、地元住民の証言から、(サトウキビ・プランテーションになる)これらの土地が耕作地であり、以前、米やコーン、バナナといった作物が植えられていたところであることが明らかになった。
農民および先住民族はまた、バイオエタノール事業の事業者らが申し出たバラ色の約束の一つが、原料であるサトウキビ生産のために土地を使わせてくれるならば、年20,000 ペソ(訳者注:約40,000 円)の土地賃貸料金を受け取れるというものだったことを明らかにした。しかし、実際には、その賃貸料金は現在、年にわずか5,000 ペソ(訳者注:約10,000 円)にまで引き下げられており、彼ら家族の基本的なニーズを満たすには十分でない。このように、彼らの経済的な困窮は食い物にされている。


こうした状況は、イサベラ州サン・マリアノ町の農民および先住民族の困窮を悪化させている。したがって、影響を受ける/受けている農民および先住民族の要求、また、現地調査団の提言を以下に示す。


. 何十年にもわたり耕作してきた土地の所有権を認めること
. 農民および先住民族が収奪されてしまった土地について、彼らが所有し、平穏な耕作ができる状態に戻すこと
. 農業改革省(DAR)、環境天然資源省(DENR)、土地登記局、LBP が、農民および先住民族の移転につながる変則的な土地権利書の発行に関与していることが報告されているケースについて、調査を実施すること
. 「抵当物受け戻し権喪失手続」を中止すること。また、変則的な土地権利書の発行を進めている首謀者や関与している者の調査をし、起訴すること
. 詐欺行為などを通じて取得された土地権利書を取り消し、早急に(土地の)復権手続きを行なうこと
. 農民や先住民族による農業の生産性を確保するため、フィリピン政府機関および地方自治体が農業支援/補助を十分に供与すること
. 伝統的な品種を利用した固有かつ持続可能な営農活動の発展と促進を支援すること

. (サトウキビ・プランテーションにおける)農業労働者を含む農業労働者の生活給が供与されるよう、(州や町の自治体が)条例を作ること
. (バイオエタノール)事業によって影響を受けるコミュニティーにおいて、公聴会/住民協議の実施、また、情報公開を確保すること


(以上)
翻訳:波多江/FoE Japan

英文はこちらのサイトにあります。

http://kilusangmagbubukid.digitalresourcesbureau.org/files/FFM_Mission_Statement_0.pdf

 

またDAGAMIの要請書は次のように訴えている。(次のサイトより抜粋)http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/pdf/2010petition.pdf

「しかし、エタノール事業がもたらすのは発展ではない、と私たち農民は信じる。むしろ、私たちの土地を奪い、私たち農民の貧困と飢えを悪化させるだけである。」

「情報によれば、未利用地のみがサトウキビ農園になるという。しかし、実際に起きていることは違っている。伝統的な農法を営んできた農地(Kaingin)やこれまで使ってきた田んぼが、エタノール(事業の)契約に入っている。実際は、「未利用の」土地といっても、土地権利書を持っていない、あるいは、農業のための元金が不足しており借金をするしかない、あるいは、政府からの支援が不足しているといった理由で、誤って未利用とみなされている。こうした土地は他にもある。家畜のための牧草地や、家屋を作るために利用する原材料、集水域等である。」

「 リース契約(土地を利用させる契約)にある9 つの条項の大半は、私たち農民には重く、また、不利なものだ。」

「市民の食料の代わりに、エタノール製造のため、広大な土地の利用転換がなされれば、食料不足や日用品の価格高騰の経験を悪化させるだろう。現在、サン・マリアノ町の農家75~80%が一日三食できない状態にあり、国内外の企業が巨大なサトウキビ事業を進める間、農民は飢えで死んでしまうだろう。市民に必要なのは、食料であり、エタノールではない。」
「サトウキビ、コーン、キャッサバ、ヤトロファというローカル作物からのバイオ燃料/エタノールの精製は、科学技術の進歩の一部で、日本等の先進国のみが利益を得る。そうした国の望みは、彼らの産業のために安い原料を作り、供給し、彼らの高い生成物を売る市場として、私たちを縛り付けて維持することだ。したがって、発展の代わりに、「エタノール事業」の実施は、サン・マリアノ町の農民と市民にとって、広大な土地の収奪を意味する。ここで確実に利益を得るのは、GFII、Echofuel Land Development 社、そして、サン・マリアノ町の有力者である。

「イサベラ州農民組織サン・マリアノ町支部(DAGAMI-San Mariano)のリーダーシップにより、私たち農民は、サン・マリアノ町の農民の民主主義という大志と利益を代表して、反農民かつ反市民のエタノール事業に対する反対の意を表明する。私たちのこの表明の証拠が、以下の仲間の署名である。ここに署名した仲間は、農民の合法的、かつ、公正な要請のために一致団結した市民である。」

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