2010年12月30日木曜日

2010 日本の海外農業投資

把握できている情報を掲載します。
1) 双日株式会社 
   双日、アルゼンチンで大豆など農業事業を開始(2010/11/17)
~農業経営ノウハウを蓄積し、ブラジルなどへ拡大。食料資源の安定供給に貢献~
http://www.sojitz.com/jp/news/releases/20101117.html

アルゼンチン共和国/農業事業会社設立に対する海外投資保険について
http://www.nexi.go.jp/topics-p/index_frame_direct6.html

2) 豊田通商
南米に強みを持つ穀物メジャーと包括提携を締結(2010/11/19)
~ 食料資源確保のため供給ソースの多角化へ ~
http://www.toyota-tsusho.com/press/2010/11/20101119-3580.html

3)伊藤忠商事(2010/04/08)
フィリピンにおけるバイオエタノール製造・発電事業について
http://www.itochu.co.jp/ja/news/2010/100408.html

2010年10月13日水曜日

なぜ我々は「責任ある農業投資原則」に反対するか

なぜ我々は「責任ある農業投資原則」に反対するか

                                  農地改革のための世界キャンペーン
                                  土地調査アクション・ネットワーク
FIAN International 、Focus on the Global South 、La Via Campesina、Social Network for Justice and Human Rights (REDE SOCIAL)

Why We Oppose the Principles for Responsible Agricultural Investment (RAI)
http://viacampesina.org/en/index.php?option=com_content&view=article&id=953:why-we-oppose-the-principles-for-responsible-agricultural-investment-rai-&catid=23:agrarian-reform&Itemid=36
http://www.fian.org/resources/documents/others/why-we-oppose-the-principles-for-responsible-agricultural-investment/pdf


 近年、新しい開発が生まれつつある、それは"地球規模での農地争奪”として知られている。この新しい開発に伴い、農地に対する大規模な投資が人権や社会的つながり、持続的な食料供給、世帯における食料確保、そして環境に対して悪影響を引き起こすことが明らかになりつつある。こうした投資の悪影響を緩和するためと言って、世界銀行と国際食糧政策研究所を筆頭として、様々な国際的な機関や諸政府は、こうした投資に対するガイドライン、行動規範、あるいは原則を提起している。2010年1月以来進められている世界銀行や国際農業開発基金(IFAD)、UNCTAD、FAOなどによる「人権と生計、資源の尊重のための責任ある農業投資原則(RAI)」は、こうした試みの最も進んだものとなっている。
 La Via Campesina, FIAN International, the Land Research and Action Network, GRAIN などによる2010年4月の共同声明文において、我々は強くRAIを拒否する姿勢を示した。なぜなら農民の土地を長期にわたって企業が簒奪を正当化しようとするものであり、これを認めることは断じてできない。

 このペーパーでは、拒否の姿勢について説明を行っていく。この7つの原則は合理的そしてまた説得力があるように見えるかもしれない。しかしそうではない。特にこれらの原則は人権侵害や国際法に反する政策に対する規制としては全く不十分である。原則は特定の政策を進めていくものだと思われるかもしれないが、そうでもない。

 諸国家は国際法を履行する責任がある。特に国連の社会権規約委員会の一般的意見書12に示されている、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の11条、またFAOの「食料への権利のガイドライン」を履行する責任がある。そこでは人々の土地へのアクセスを保証するために農地改革を実施すること、人々が尊厳を持って生活し食料を得ることができるように、生産のために適切な手段をとることを求めている。また農村の未来の世代が必要とする土地を考慮しなければならない。(アフリカにおいては、2010年から2050年において人口は倍増すると見込まれている)こうした人々に対して土地の留保を保証することは不可欠なことなのである。

 農地争奪は、農民や遊牧民などが使ってきた土地から、今生きている人々、そして将来の人々までもを排除するものである。これは上記の国際法に定められた義務にも違反する。この事実は単なる「原則」によって救済されるものではない。また農地争奪は他にも様々な国際法への違反に結びついている。生計手段の剥奪、地域の自然資源を破壊する被持続的な農業の導入、適切な補償や再定住策を欠く土地からの強制排除、情報提供の拒否、生活に関わる政治的決定に対する参加の阻止などが引き起こされている。

 このペーパーではまずRAIイニシアティブとそしてまたRAI原則そのものの問題を、原則の一つずつについて検討していく。次に、このイニシアティブが出てきたプロセスを見直し、制度的また手続き的な問題点を検証する。

(1) 土地と資源に対する権利に関するRAI原則:既存の土地と自然資源に対する権利を認め、また尊重されること

 すべての権利保有者が明確化されるとともに、すべての形の土地権が法的に認められるということが必要な条件であろう。しかしこのことで、これらの権利が有効に保障されるということではないし、ローカルコミュニティの土地への権利が保護され、促進されるということでもない。
 第一に、そもそもこの原則は既存の土地権を、投資家に対して円滑に移行する目的でつくられたものであり、農民やコミュニティの手に、将来にわたって土地をとどめておくことを目指しているわけではない。
 第二に、「既存の土地権」という概念は、土地を持たない住民が土地にアクセスする、あるいはアクセスを回復するという権利を視野にいれていない。最も良好な農地が民間投資家に奪われつつあるという現実の中で、土地を持たない、あるいは土地をわずかしか持たない人々が土地を得て、「既存」の土地権を本質的に改善するということが妨げられてしまう。このことはRAIイニシアティブの根本的な矛盾である。土地の再配分を含んだ農地改革というのは、食料への権利を保障するための義務的な方策であるにも関わらず、こうした配分可能な土地資源を減少させ、農地改革に逆行する農地政策を促進するということは、食料への権利という人権の侵害であり、社会権規約に違反するものである。
 第三点は、急速な人口増加の中で、未来の世代に対して追加的な土地資源を確保するという予防的方策が必要とされていることである。このことは「既存の土地権」ではカバーしきれない。

 実際には、誰が土地への権利を持っているかというのは、様々な利害関係と権力関係が立ち現れる非常に政治的な問題であり、単なる技術的、行政的な問題ではない。意思決定の際に、土地権と「開発」に対してどのような解釈をとるかということは、権力的なバランスによるものである。歴史を振り返っても、常に土地権に対して、万人受けする技術的なアプローチが優先されてきたが、これは資本の利益にかなうものであり、金持ちを優遇するものであり、農民と労働者の更なる貧困化を引き起こしてきた。農民は土地を奪われ、排除され、移住を強いられてきたのである。RAIイニシアティブにおいて土地と資源への権利は技術的な課題として捉えられており、政治的な、階級的な問題には目が向けられていない。このことは女性や農民、放牧民、先住民族の権利を促進するどころか、切り崩していくこととなろう。

(2)食料安全保障に関するRAI原則:投資によって食料安全保障が危機に瀕することなく、むしろ強化されること

 食料安全保障のアセスメントは通常、国レベルの需要と供給の集計データに頼っている。こうした集計データでは、誰が食料を生産し、それがどこから来て、どのように生産されたものか、また現在誰が食料に事欠くのかは考慮されることはない。
 この結果、国内外で国際貿易向けの食料やバイオ燃料を生産する国が、海外から食料を輸入するという事態が起きるのである。食料安全保障を公的な、国レベルの集計データーで定義するということは、優越する生産・分配・消費パターンの中で社会的・環境的な問題を見過ごすこととなってしまう。大規模投資に基づく工業的農業によって純食料生産量が増加したとしても、ローカル・コミュニティの土地喪失、農民や放牧民の生活の破壊、土壌や水の破壊的使用といった受け入れがたいコストが発生するのである。食料安全保障は極めて狭い概念であり、RAIイニシアティブのように、この言葉を根本的な原則に使用するということは、地球上の在来農村、漁村、牧民のコミュニティに破滅的な結果を引き起こすことであろう。そこで我々は、適切な食料のための権利と食料主権、という言葉を用いるのである。

(3) 透明性、良好なガバナンス及び投資しやすい適切な環境に関するRAI原則:適切なガバナンスと土地へのアクセスと関連投資の過程に透明性があり、モニタリングが行われ、アカウンタビリティが確保される。

 土地へのアクセスと関連投資のプロセスにおける透明性とモニタリングは望まれる政策である。しかしそれだけで、貧困層にとって望ましい結果が保障されるわけではない。そこで我々は常に、透明性という考え方を貧困層にとってのアカウンタビリティの原則と結びつけることを提唱している。この点がRAIイニシアティブに完全に欠けている点である。
 実際に、RAIイニシアティブ策定は、インフォーマルな土地取引や投資の不安定性や不確実性を避けるために、透明な土地入手プロセスや、良好で安定な投資環境を求める、様々な多国籍企業や国内企業の要求に応える形で進められたものである。しかし土地取引が透明になったとしても(果たして企業がセンシティブな情報を公表したいと実際に望むかどうかは非常に怪しいところであるが)、このことが即座に農民の利益につながるというわけではない。これは地球上の様々な歴史や経験が何度となく明らかにしてきたことである。透明かつ「合法的に」、幾度となく農民・漁民・牧民、そして森の民のコミュニティは土地を奪われ、自然環境と脆弱な生態系が破壊されてきたのである。

(4) 協議と参加に関するRAI原則:実質的に影響を受けるすべての人と協議し、協議から得た合意を記録し、実施すること。

 RAIイニシアティブは、協議の結果が常に投資プロジェクトの受け入れになると想定して
いるようである。これでは協議は、結果がより正統化されて見えるようにするための単なる見せかけに過ぎない。
 しかしプロジェクトによって影響を受ける人々に対する協議の権利を真摯に取り上げ、人々がプロジェクトの社会的・経済的・環境的影響について、事前に公正なアセスメントを行い、代替案についても検討する機会を持つならば、こうしたプロジェクトを実施しない方がいいという結論に達するかもしれない。しかしこの原則、そして「協議」に関する主流の理解はこうした可能性を考慮してもいないし、こうした結果を本当に受け入れることもないであろう。この点が大きな問題である。実際に、近年の大規模な農地取得に際して、モザンビークのガサ県や、ケニアなど様々な国で「協議」が行われてきた。しかしその結果として引き起こされたのは土地の簒奪であり、敵対的な編入であった。多くの国で、国内企業や多国籍企業、国内エリート、政府は、土地を狙う自分たちのために「協議」を操り、農民や漁民、牧民のコミュニティの利益と人権を損なう方向に向かわせてきたのである。
 より広範な視点から考えるならば、土地の利用可能性や生態系保全の役割、農業のあり方、土地利用の構造について、政府は未来の世代に対して法的な義務を負っていることを忘れてはならない。影響を受ける人に対する協議が行われた後であっても、こうした義務を逃れることはできないのである。

(5)責任ある農業企業投資と経済的実行可能性に関するRAI原則:プロジェクトはすべての点において実現可能であり、法を尊重し、産業のベスト・プラクティスを反映し、永続性のある共通の価値観を持てるものであること。
 
 「経済的実行可能性」とは何なのか?世界市場において競争力を持つために、受け入れ国におけるすべての政策と戦略を外国資本に適したものとすることではないのか?この原則は、受け入れ国における政治経済に関して土地争奪が持っている意味を暗に示している。女性や小農民、牧民などすべての小規模な食料生産者が中核をなし、農業生態系に基づく耕作や牧畜が支援され、地域市場と経済が活性化されるような農業生産モデルを優先するかわりに、RAI原則は、国内外の大規模な投資家に奉仕するように政府と国家を導くための政策を正当化するものであり、破壊的な工業的農業モデルを促進するものである。しかし農業科学技術国際評価(IAASTD)はこうしたモデルは可能な選択肢ではないと明確に指摘している。食料及び気候危機の中で、こうした投資を促進することは無責任である。人権面からは、この原則は差別的であり、適切な食料への権利を実現するという国家の義務を果たすものでないと言える。

 いかに法律を守り、ベスト・プラクティスを踏襲したとしても、アグロ・インダストリーの経済的実行可能性というものが、そのプロセスにおいても、また結果的にも、プロジェクトに影響を受ける人々やコミュニティが利益の増進につながるという保障はない。事実、経済的にも成立し、それなりに法律も守っている農企業体が、貧困層やコミュニティの土地喪失を引き起こしたり、アグリ・ビジネスの中に無理矢理巻き込んでいくというケースは多々存在しているのである。経済的に成り立ちうるビジネスというのは、働く貧困層にとっての福祉を実現するということと同じではないし、そうした人々の経済的・社会的・文化的権利の実現を意味するものでもない。

(6) 社会的持続性に関する原則:投資は社会と分配に望ましいインパクトをもたらし、脆弱性を増大させないものであること。

 社会的持続性に関するアセスメントはしばしば、非常に狭い観点から、また非歴史的な観点から行われてきた。例えば、コミュニティが排除された事例で、土地取得が行われる以前、またその間の状況が調査されないままに、農業投資プロジェクトの社会的便益へのインパクトが、単に直接雇用、間接雇用によってのみ調査されるといったケースである。こうした調査は、人々が資源を奪われ、土地を追われることによって、未来の選択肢も奪われたのだ、という点についても見落としている。
 モザンビークのProcanaのようなプロジェクトの推進者たちも、プロジェクトにおける雇用の創出と、所得向上をもって、「社会的持続性」を示してきた。しかし長年の伝統であった放牧の終焉に関連しては「社会的持続性」という点からは全く議論がなされていない。また人々の資源管理と生活を尊重した上での生計の改善という可能性については調査すらなされていない。農村の貧困層の視点からは、主たる問題は彼らの権利を実現するためにどのような投資が必要かということであって、大規模な投資プロジェクトの影響を緩和するためにどうすればいいかという話ではない。


(7) 環境持続性に関するRAI原則:環境への影響を定量化し、資源の持続的利用を奨励する措置をとり、マイナスの影響は最小限に止めるか軽減する。

 「定量化」や「計量」といわれる場合に、金銭的や経済的な計算を意味することが多い。例えば、森林を伐採したり、焼き払ったりした際の環境コストというのは比較的簡単に計量されるのかもしれない。しかし農業投資プロジェクトを含むような食料・エネルギーモデル総体の環境コストを定量化しようと政策決定者が考えるか、そもそもそれが可能かどうかは定かではない。鉱業、単一作物農業、多様性の喪失、化学物質による土壌と水の汚染、長距離の食糧輸送と貯蔵、廃棄物処理など、このようなすべての環境コストを定量化しようとするだろうか。簡単に言うならば、経済及び生態系に対する政治的な観点からは、RAIの想定する土地取引は本来的に環境面からは持続不可能なものなのである。資源の持続的な利用を奨励するためには、全く異なるタイプの投資プロジェクトが検討されなければならない。

RAIの制度的問題

 このイニシアティブの手続き的また制度的な問題を検討する。

 RAIイニシアティブは大規模投資家が農業生産に対する関心を高めたことに対応したものである。RAI原則は農業投資における公共政策と受け取ることはできないし、民間農業投資に対する国家規制と見なすこともできない。それは大規模な農地取得が引き起こすネガティブな影響を緩和するための、自己規制のための政策アドバイスに過ぎない。
 民間セクターに対する自己規制という枠組みの中で、RAI原則は国内法規制、国際的人権法など、法的な拘束力に関しては言及していない。これはEITI(採掘産業の透明性イニシアティブ)やエクエーター原則、サンティアゴ原則、OECDの多国籍企業ガイドライン、また多々ある産品別や特定の取り組みにおける、企業の社会的責任という枠組みの中で検討されてきたものである。

 しかしながら、金融危機、規制緩和による様々な危機、また最近のメキシコ湾での危機など、民間セクターの自己規制が失敗してきたのは明らかであるにも関わらず、国際機関のいくつかや複数の政府は、いまだにこれだけが団体的/民間規制のあり方だと考えているのである。これは無責任な態度である。地域的にも地球的にも、我々は早急に食料品に対する金融的投機をやめさせなければならないし、実体経済一般の”金融化”にも歯止めをかけなければならない。世界の食料システムをコントロールしようとする力を押さえ込まなければならないのだ。度重なる食料危機や農業持続性、気候変動を乗り越えるためには、金融市場、食料、農業、水などの重要なセクターに関して、投資そして投資家に対する厳格な命令と執行可能な法的規制を実現しなくてはならない。

 RAIは貧困国政府の参加なしに、またこうした投資によって影響を受ける人々、女性や小農民、先住民族、漁民、牧民、農業労働者などの参加なしに、諸機関の間で進められてきたものである。RAIは多国籍機関の中で、手続きや決定、責任の所在などに関して明確なルールをもって作られたものではない。民間セクターと強い結びつきのあるテクノクラートが、ビジネスの動きにあわせつつ、イデオロギー的な信念のもとで、世界のそして人々の資源がどのように使われるべきかと決定した、市場志向の「グルーバル・ガバナンス」の賜物に過ぎないのである。
翻訳(開発と権利のための行動センター   青西)

2010年9月18日土曜日

「責任ある農業投資への原則」の限界

APECで「責任ある農業投資への原則」に関連する宣言を出す方向でとりまとめているという報道が9月5日付けの朝日新聞のサイトに掲載された。[1]
この原則は、昨年から日本政府が世界銀行や国連食糧農業機関(FAO)などと制定に向けて取り組んできたものである。[2]
その数日後、世界銀行は、「世界規模で広がる農地への関心-持続可能で公平な利益を生み出すことができるか」という報告書を公表した。[3]



この報告書は食料危機とその後に続く金融危機で、農業分野への投資が再発見され、開発途上国における農地獲得の動きが拡大していることに対して、開発のた
めの機会となるのか、不公正を存続させ、資源の劣化、そして紛争を引き起こすだけに終わるのか、この両者を検証し、リスクを減らすための助言を行うには情
報が不足しており、その情報ギャップを乗り越え、議論のために重要な情報を提供することを目指しているとしている。(実際にはこの報告書は、農地獲得を含
め開発途上国に対する民間からの農業投資は貧困削減と開発のために重要であるというポジションに立って、その上で何をしていくべきかという視点から書かれ
たものとなっている。)
 
 しかしながらこの報告書で明らかにされたことは、問題を把握し、検討するための十分な情報は存在していない
し、存在していたとしても開示されていないということである。世界銀行は、国際NGOであるGrainが中心となって農地取得問題に関する報道等を整理し
ているFarmlandgrabのデータベースに情報を整理し、その上で14カ国をのみを対象に、政府からのデータ収集を試みている。しかしながらほとん
どの国で世界銀行ですら的確に情報を収集することは出来ていないのである。情報自体の欠如、データベースの未整備、開示への拒否まで。つまり、この報告書
は当初の目的を達成することはできなかったのである。
 その中でも明らかにされたことは、脆弱な土地管理、コミュニティの土地権利の承認、保護の
失敗、大規模な投資を管理する能力の欠如、投資側の不適切な計画、投資を適切に位置づける開発戦略の欠如などによって、大規模農業投資は成果を上げること
が出来ていない一方で、「地方の人々はしばしば資源を失う一方で、ほとんど利益を享受していない」ということである。(P. xv)

 こ
うした状況を前に、世界銀行は「情報へのアクセスを増大させ、規制を執行させるための方策を整え、政策や規制に関する開かれた議論を可能にすることが不可
欠である」としている。[4]
つまり、現時点で開発途上国における大規模な土地取得や農業投資から持続的で公平な利益を生み出す基盤が存在していないことが報告書で明らかにされている
と理解すべきである。Grainが指摘するように、「投資家は脆弱な政府や地方のコミュニティの法的な保護の欠如をいいことに、人々を土地から排除してい
る」というのが大規模な農地取得の現実でなのである。[5]
 

現時点では、政府には農業投資を適切に開発政策に位置づけ、農地取得を管理するキャパシティは存在せず、農民や先住民族の既得の土地や資源に関する権利も
把握すらされておらず、また情報が適切に開示されていない以上、事前の情報に基づく協議が実施できるわけはなく、契約実施のモニタリングも監査もできな
い、これが現実なのである。

 それにも関わらず、日本政府が世界銀行などと共に進めていこうとしているのが、下記に記す「責任ある農業投
資への原則」である。「責任ある農業投資」を実現し、かつその履行を保証、監視していく基盤がないことが明らかになっているにもかかわらず「自発的な」行
動原則を定めようというのである。
 原則を推進する日本政府は、自国企業に対して土地取得プロセス、協議プロセスから環境影響評価まですべての関
連情報の開示を求めることができるのだろうか?日本企業はすべての情報を自発的に開示するのだろうか?日本政府は「責任ある農業投資」が実現可能なまでに
国内法制・行政制度が整っている国をリストアップできるのであろうか?日本政府はAPEC加盟国に同じことを要請できるだろうか?
 自発的に、原則の履行に積極的に踏み込んで前例を作る意思がなければ、自発的な行動原則など意味を持つことはないであろう。

 とりあえず必要なことはいつになったら実現されるかわからない「責任ある農業投資」の実現を待つのではなく、大規模に広がる「無責任な農業投資」、資源の略奪、土地の略奪を防ぐことである。
 
[1]途上国の「土地争奪」防ぐルール案 APEC向け調整
http://www.asahi.com/international/update/0905/TKY201009050275.html
[2]「責任ある国際農業投資」ガイドラインは是か非か
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2010/04/post-1c76.html
[3]Rising Global Interest in Farmland
http://siteresources.worldbank.org/INTARD/Resources/ESW_Sept7_final_final.pdf
[4]Joint Notes Rising Global Interest in Farmland and the Importance of Responsible Agricultural Investment
http://siteresources.worldbank.org/INTARD/Resources/Joint_Issues_Note_54_v6.pdf
[5]World Bank report on land grabbing: beyond the smoke and mirrors
http://www.grain.org/articles/?id=70

その他参考サイト
Food crisis and the global land grab
http://farmlandgrab.org/
農業情報研究所
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/


開発と権利のための行動センター
青西靖夫

2010年6月8日火曜日

「責任を持って小農を破壊しようとする『責任ある農業投資原則』」

「責任を持って小農を破壊しようとする『責任ある農業投資原則』」

食料の権利に関する国連特別報告者、オリビエ・ド・シュ-テル氏(オリビエ・デ・シュッター)は、現在日本政府も積極的に推し進める「責任ある農業投資に関する原則」を強く非難している。
 
6月4日にProject Syndicateのサイトに掲載された記事「 Responsibly Destroying the World’s
Peasantry/責任を持って小農を破壊」は、投資家とコミュニティの双方に利益をもたらすと謳っている「責任ある農業投資に関する原則」は不適当な
ものであると告発している。[1](下に全訳)

責任ある農業投資に関する原則は、日本政府が、世界銀行などとともに積極的にその策定を目指している自発的なガイドラインであり、次のような7つの原則(案)を含んでいる。[2]
(1)土地及び資源に関する権利の尊重
(2)食料安全保障の確保
(3)透明性、グッド・ガバナンス及び投資を促進する環境の確保
(4)協議と参加
(5)責任ある農業企業投資
(6)社会的持続可能性
(7)環境持続可能性

 
しかしながら、上記の記事において、国連の特別報告者は「自発的な原則ではなく、食料への権利や、生存の糧を奪われないようにする権利など、人々の権利を
保障し、政府にその履行を要求できるような原則こそが必要であること」を指摘している。また飢餓対策、貧困対策として、大規模農業、機械化農業を推し進め
ることは本末転倒しており、「飢餓や栄養不良は食料生産の不足によるものではなく、貧困と不平等によるものなのである。このことは世界の75%の貧困人口
が居住する、農村部において特に顕著である」と述べている。
 特別報告者は、小生産者の農業の多様性、生物多様性の維持に貢献や、農村コミュニ
ティに価格変動や気候変動への抵抗力を評価する一方で、温室効果ガスの3分の1を生み出しているような工業的な農業モデルを推進することに疑念を呈し、今
回の「責任ある農業投資に関する原則」は、「社会的・環境的により持続的な農業開発に取り組んでいくのではなく、世界中の小農民を責任を持って破壊してい
こうとしている」と見なしている。

 補足
国連の食料への権利に関する特別報告者はその報告書において、大規模な農地取引において適用されるべき、11の人権原則を提起している。[3] この原則内容は既に、農業情報研究所のサイトで紹介されているものと同じようである。[4]

 開発と権利のための行動センター
 青西


[1]"Responsibly Destroying the World’s Peasantry" Olivier De Schutter,
http://www.project-syndicate.org/commentary/deschutter1/English
[2] 外務省: 責任ある農業投資に関するラウンドテーブル(概要)(2010/4/27)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/food_security/100430_gaiyo.html
[3] Report of the Special Rapporteur on the right to food,
-Large-scale land acquisitions and leases: A set of minimum principles and measures to address the human rights challenge-
Olivier De Schutter (2009/12/28)
http://www.srfood.org/images/stories/pdf/officialreports/20100305_a-hrc-13-33-add2_land-principles_en.pdf
[4]国連専門家 外国農地取得に関する人権法に基づく原則を提案 G8サミットで採択を(2009/06/12)
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/overseainvest/09061201.htm 



Responsibly Destroying the World’s Peasantry
Olivier De Schutter
Published: 6 June 2010

Olivier De Schutter


界銀行、国際連合食料農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国際連合貿易開発会議(UNCTAD)が最近提示した七つの「責任ある農業投資
の原則」は、大規模な土地投資を進め、投資家とコミュニティ双方に利益をもたらすという。しかし原則は、善意に基づくものかもしれないが、実際にはあまり
に不適切なものである。

 自国の食料供給や原材料、バイオ燃料の確保、あるいは植林を通じた炭素貯留をはかる補助金を得るという目的で、
民間投資家や国家が世界中で数百万ヘクタールという土地の購入や借地を開始してから数年が経過する。ウォール街の銀行やヘッジ・ファンドを含め、西洋の投
資家が、土地への直接投資を、不安定な金融環境の中での安全な避難所と見なしているのである。

 この現象は大きな問題を引き起こしている。2006年以降、1500万~2000万ヘクタールの農地、フランスの可耕地面積と同様の面積が、海外の投資家の取引対象となっている。
 
これは大きなリスクを伴っている。長年の慣習的な権利に基づいて、生計を支えるために利用されてきた土地が、しばしば「遊休地」、あるいは「農業向けの留
保地」と呼ばれ、こうした取引の対象とされることが多いのである。「公共の利益」の名のもとに退去命令が出され、正当な補償と影響を受ける住民に対する協
議などというのは、遵守されるより履行されないことの方が遙かに多い。
  
 アフリカにおいては、農村部の土地は国有と見なされることが
多く、政府はまるでその土地が自分たちのものであるかのように扱っている。ラテンアメリカにおいては、大土地所有者と小農民の格差は広がりつつある。南ア
ジアでは長年生活してきた土地を追われ、パームオイル農園や特別経済区、あるいは植林プロジェクト地などに移り住む住民が増えている。

 
こうした現象に対峙するためとして提起されている諸原則であるが、これは単に自発的な履行が求められているに過ぎない。しかし、食料への権利や、自然資源
からの利便を享受する権利、その生存の糧を奪われないようにする権利など、人々の権利を保障するように政府に要求することが必要なのである。この原則は人
権を無視していることからして、説明責任を果たし得ないのである。

 また大農園を形成するために投資家に土地を譲渡するということと、よ
り公平な土地へのアクセスを保証するために土地を分配するということの間での対立がある。諸政府は何度となく土地分配という目的を追求していくと約束して
おり、近年では2006年に開催された「農地改革と農村開発に関する国際会議」の場でその約束は繰り返されている。
 
 どのような原則が
策定されるかということよりも更に根幹に関わる問題が存在している。大規模な農業投資を進めようという根拠には、飢餓対策のためには、食料生産の推進が急
務であるが、農業投資の欠如がその障害となっているという考え方がある。そこで、農業への投資を促進すべきであり、科せられる規則は、投資を進めるもので
あっても、抑制するものであってはならないというのである。

 しかしこの分析も、また対策もどちらも間違ったものである。飢餓や栄養不良は食料生産の不足によるものではなく、貧困と不平等によるものなのである。このことは世界の75%の貧困人口が居住する、農村部において特に顕著である。

 
過去において、農業開発は大規模化、資本投入型の農業を推進し、地方のコミュニティに食料を供給してきた小規模生産者への対応をおざなりにしてきた。また
日増しに競争的になる環境の中で、政府は農業労働者を搾取から保護することに失敗してきた。だからこそ、今日、十分に食べることのできない人たちの70%
が、こうした小農民や農業労働者だという現実がある。
 
 大規模農業、機械化された農業への移行を推し進めることでは問題は解決できない
どころか、悪化するばかりであろう。大規模化され、資機材の整備された農業生産者は、競争力を持ち、市場に対して安価な生産物を供給できるであろう。しか
し同時に市場価格には反映されない高い社会的な費用を生み出すのである。
 
一方で,小生産者の生産費は高くつくが、単位面積当たりの生産性は高いことが多い。土地を最大限に活用し、作目や家畜を補完的に組み合わせることに成功している。その農業は外部の投入財への依存が少なく、機械化も進んでいないが、高い労働集約性を要求するものである。
 
 
もし、小生産者が市場において、大規模生産者と競合したならば負けてしまうであろう。しかし小生産者は評価されてはいないものの、高いサービスを提供して
いるのである。農業の多様性、生物多様性の維持に貢献し、農村コミュニティに価格変動や気候変動への抵抗力を与え、環境保全にも役立っている。
 
 大規模な農業投資は、こうした農業世界の関係性を破壊してしまうのである。明らかに不均衡な競争を深化させ、農村社会の瓦解を引き起こしかねない。
 
 農業投資が責任をもって行われなければならないのはもちろんである。多くの者が、近年の食料価格の高騰によって引き起こされた懸念を投資の機会と捉えたようであるが、機会と解決策とを混同してはならない。
 
開発途上国における農業生産を再興するためには、少なくとも年間300億ドルが必要だとされている。これは世界中の国内総生産の0.05%に相当する。し
かし、金額ではなく、どのような農業を支援するかということの方が重要である。力を持つ少数の経済的アクターによる大規模なモノカルチャーを促進すること
は、小生産者や家族経営との格差を更に拡大するものであり、また既に温暖化ガスの3分の1を排出している工業的な農業モデルを促進するということなのであ
る。

 社会的・環境的により持続的な農業開発に取り組んでいくのではなく、世界中の小農民を責任を持って破壊していこうとしているのは残念でならない。
 
http://farmlandgrab.org/13528より 翻訳

元のサイトはProject Syndicate

2010年4月20日火曜日

「責任ある国際農業投資」ガイドラインは是か非か

開発と権利のための行動センターのサイトより転載

2010/4/20

「責任ある国際農業投資」ガイドラインは是か非か(I,II)

 日本政府も積極的に関与する「責任ある国際農業投資」のための自発的ガイドラインに対して、国際的な農民組織であるビア・カンペシーナ、また食料への権利の確立を求める国際的人権組織FIANが土地集積を進めるものであるとして抗議行動を展開中
 FIANなどはこのガイドラインは、農地争奪、そして外国資本による土地集積を正当化するものに過ぎず、農民の手から土地を奪っていくものであると拒絶する姿勢を取っている。
 日本の市民組織・農民組織はどのような声を上げていくのか?!
 背景
「責任ある国際農業投資」のためのガイドライン制定の動きには日本政府も強く関わっている。2009年9月26日に日本国政府及び世界銀行、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)及び国連貿易開発会議(UNCTAD)共催により、「責任ある国際農業投資の促進に関する高級実務者会合」(Roundtable on Responsible International Investment in Agriculture)が開催されたところに端を発するからである。[1](2011/09修正:これ以前のラクイラ・サミットに向けて既に日本政府は動いている)
 日本政府はこの会議において外国による農地取得が引き起こす可能性がある負の影響を踏まえ、「国際農業投資によって生じ得る負の影響を緩和しつつ、投資の増大によって世界全体の農業開発を推し進めるという包括的なアプローチだと考える。つまり、投資受入国の政府、現地の人々、そして投資家という3者の利益を調和し最大化する、『責任ある国際農業投資』を促進すること」を打ち出してきた。
 この会議の場で世界銀行から提案された「責任ある国際農業投資を促進するための原則」が、今後の共同作業のベースとなることとされたのである。
 それは次のような原則を含んでいる。[3]
土地地及び資源に関する権利:既存の土地及び天然資源に関する権利は認識・尊重されるべき。
 食料安全保障:投資は食料安全保障を脅かすものではなく、むしろ強化するものであるべき。
 透明性、グッド・ガバナンス及び投資を促進する環境:土地の評価と関連投資の実施過程は透明で、監視され、説明責任が確保されたものであるべき。
 協議と参加:著しく影響を被る人々とは協議を行い、合意事項は記録し実行されるべき。
 経済的実行可能性及び責任ある農業企業投資:投資事業は経済的に実行可能で、法律を尊重し、業界のベスト・プラクティスを反映し、永続的な共通の価値をもたらすも
のであるべき。
 社会的持続可能性:投資は望ましい社会的・分配的な影響を生むべきであり、脆弱性を増すものであってはならない。
 環境持続可能性:環境面の影響は計量化され、負の影響を最小化・緩和して持続可能な資源利用を促進する方策が採られるべき。
[1]外務省:責任ある国際農業投資の促進に関する高級実務者会合
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/food_security/090926_gh.html
[2]上記サイト の「平松審議官挨拶のポイント」
[3]上記サイト議長サマリー仮訳より
  世界銀行のプレゼンテーションに英文での詳細がある。
 こうした動きに対して、国際的な農民組織であるビア・カンペシーナ、また食料への権利の確立を求める国際的人権組織FIANが土地集積を進め、その問題を隠蔽するものであるとして抗議行動を展開しているのである。[4]
 FIANとビア・カンペシーナは次のように訴えている。
「農地の収奪/囲い込みは、農村コミュニティに対して土地へのアクセスを否定するものであり、コミュニティの生活基盤を破壊し、農民を対象とした農業政策の幅を狭め、市場と国際取引を歪め、アグロ・インダストリーの手に利益を集中させるものである。地域内や国内市場に向けた、そしてまた未来の世代に向けた小農民による持続的な農業への支援とはならない。また生態系の破壊・気候変動を加速するものでもある」
 このように農地の囲い込みは人権侵害を引き起こすものであるが、世界銀行は農業投資に関する自発的原則を定めることによって破壊的な結果を避けることができるという幻想を振りまき、農地の囲い込みを禁止するために必要な手段を講ずることを避けようとしているのである」
 その上で、世界銀行の提案する農業投資への自発的原則ではなく、農地改革と農村開発に関する国際会議」(the Internatiuonal Conference on Agrarian Reform and Rural Development、CIRADR)の最終宣言文及び「開発のための農業科学・技術国際アセスメント」(IAASTD)の勧告を履行を進めることを求めている。
 FIANなどは、世銀などが定めようとしている自発的原則は、外国資本による土地収奪を「社会的に受け入れられる」ものにしようとしているに過ぎず、投資ビジネスを通じて、地域住民の土地への権利が奪われていることに懸念を表明している。自発的原則ではなく、世界的な金融、食料、気候危機を前に、厳格な投資規制が必要とされるという事実をごまかすものだと見なしている。
[4]Stop Land Grabbing Immediately! 
http://www.fian.org/cases/letter-campaigns/stop-land-grabbing-immediately
IAASTDの勧告は多様な生態系のもとでの小農民の重要性、持続的農業の重要性などを取り上げていますが、もう少し整理してお伝えしたいと思います。
 日本政府も積極的に進める「責任ある国際農業投資のガイドライン」に対して、国際社会から反発の声も上がる状況を前に、日本の市民社会に流れる情報は少なすぎるように思います。
 (続く)

「責任ある国際農業投資」ガイドラインは是か非か II

 もう少し内容を検討してみようと思っていた矢先に、次のような声明文が送られてきました。「農民や市民社会組織は、ウィン・ウィンを語る土地収奪の世界銀行の提案を告発する」、「社会運動は農地収奪に関する世界銀行の戦略を告発する」というものです。
 ビア・カンペシーナやFIAN、ランド・リサーチ・アクション・ネットワーク、GRAINといった国際組織が、現在の農地収奪の動きを止めるための動きを展開しているものです。
 この動きは4月25日に開催された「責任ある農業投資に関するラウンドテーブル」とそれに引き続く、世界銀行による農地問題に関する国際会議に向けて行われています。
 私たちの政府が主催しているラウンドテーブルについて、他の国々の市民組織が反対の声を上げている。しかし私たちはラウンドテーブルについての情報を持ってもいなければ、反対している声を十分に聞くこともできていません。
 この状況は改善しなくてはならない、と思っています。
<とりあえずの現状分析>
1)日本の外務省のサイトにはこのラウンドテーブル開催についての情報は掲載されていないようである。
2)米国の国務省のサイトには、ラウンドテーブル開催情報が23日付で掲載されている。
Roundtable Discussion on Responsible Agricultural Investment (RAI)
http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2010/04/140749.htm
3)世界銀行のAnnual Conference on Land Policy and Administration
http://go.worldbank.org/IN4QDO1U10
4) 社会運動、農民組織のサイトではラウンドテーブル開催に触れている。
4月12日付け
GRAINによって運営されているサイト
Food crisis and the global land grab:Japan, US and AU to host “Roundtable on Responsible Agricultural Investment”
http://farmlandgrab.org/12065
(このサイトには外務省サイトに掲載されていない文書も外務省文書も掲載されている)
ビア・カンペシーナのサイト:Farmers and civil society groups denounce World Bank proposal for win-win land grabbing
http://viacampesina.org/en/index.php?option=com_content&view=article&id=912:farmers-and-civil-society-groups-denounce-world-bank-proposal-for-win-win-land-grabbing&catid=23:agrarian-reform&Itemid=36
Land Research Action Networkのサイト STOP LAND GRABBING NOW!!
Say NO to the principles of “responsible” agro-enterprise investment promoted by the World Bank
http://www.landaction.org/spip/spip.php?article499
FIAN のサイト:Farmers and civil society groups denounce World Bank proposal for win-win land grabbing
http://www.fian.org/news/press-releases/farmers-and-civil-society-groups-denounce-world-bank-proposal-for-win-win-land-grabbing
(いくつかのサイトではメーリングリストも運営しているので、関心のある方は登録すれば、情報を受け取ることができる)
<取り得る対応>
1)外務省に対して、より適切な情報開示を要求する。
2)日本で継続的に農地収奪の問題についてフォローしていく態勢を検討する。
現状では農業情報研究所 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/
アフリカ日本協議会の奥の奥に隠れているアフリカの食料・農業問題のサイト  
http://www.arsvi.com/i/2-food.htm
この辺が現状では重要な情報源なのかと思います。
(他にも重要な情報源がありましたら教えてください。)
 その上で、ネットワークと発信基盤の強化が必要だと考えます。
3) その次に、ネットワークを基盤にアクションの検討

 


STOP LAND GRABBING NOW!!
Say NO to the principles of “responsible” agro-enterprise investment promoted by the World Bank La Via Campesina FIAN Land Research Action Network GRAIN
Monday 12 April 2010
http://www.landaction.org/spip/spip.php?article496&lang=es

リンクが切れているので、次のサイトを紹介する http://www.fian.org/resources/documents/others/stop-land-grabbing-now/pdf http://www.fian.org/news/press-releases/farmers-and-civil-society-groups-denounce-world-bank-proposal-for-win-win-land-grabbing


(一部抜粋整理)
農地収奪は農村コミュニティや人々の食料への権利や食料主権への深刻な脅威である。世界銀行はこうした事態を前に、投資が成功するように7つの原則を定めようとしている。
問題点
-現在進みつつある、民間セクターによる土地の買い上げはリスキーである。世界銀行も開発途上国の農地が海外の投資家によって買い集められている大きな流れについて調査を終えたばかりである。しかし世界銀行は、これまで広がっていなかった地域における世界的なアグリビジネスの広がりと民間資本の流入は望ましいものであるとみなしている。
-こうした動きが土地私有化の大きな動きと、土地権の移行を伴うため、世界銀行は、社会的な反発のリスクを下げるためにいくつかの基準を設けようとしている。
-しかし農地収奪を正統化するものに過ぎない。企業がコミュニティの土地を支配していくプロセスであり、許されるものではない。
-規制緩和や貿易条約を通じて、ここ10-15年の間、農地収奪は進んできた。
-食料危機において、政府や投資家による農地収奪が進んだ。
-小農民の手から農地や森林が奪われ、貧困や飢餓が進んでいる。
-人々の自己決定権、食料主権を脅かしている。
-世界銀行は、土地、そして土地に対する権利を、資本が高い見返りを得るための基本的な財とみなしている。土地は作物を生産するだけではなく、新エネルギーの材料、そしてまた水を確保する方策でもある。
-世界銀行や企業は土地を経済的な側面からのみ評価して、生態的・社会的・文化的価値を認めていない。
-農地収奪は、コミュニティの土地への権利を否定し、生活様式を破壊する。
-生態系を破壊し、気候変動を深化させる。
-経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、国連の先住民族の権利宣言を侵害している。
-「農地改革と農村開発に関する国際会議」(the Internatiuonal Conference on Agrarian Reform and Rural Development、CIRADR)の最終宣言文及び「開発のための農業科学・技術国際アセスメント」(IAASTD)の勧告を無視している。
要求
-農地収奪は早急に停止すること
-土地と自然資源への公平なアクセスを確保するために、コミュニティの手に土地を維持するとともに、農地改革を実施すること
-小農民による農業、小規模な漁業・放牧を強く支援すること
-食料主権とローカルな市場に向けて農業政策を転換すること
-コミュニティが土地や水、生物多様性をコントロールするような農業システムを促進すること
-企業や政府などの土地(放牧地、沿岸地、森林、湿地なども)へのアクセスを制限すること。