2012年2月19日日曜日

違法な農地収奪を煽るバイオ燃料プロジェクトと現状が見えない日本企業

フィリピン、イサベラ県におけるバイオ燃料プロジェクトが、地域内における土地紛争を激化させる要因となっていることは、以前も報告しました。

 今回FoEのサイトにまた新しい事実が報告されています。不明瞭な土地所有権に加えて、経済的・政治的な権力を有する者による違法な土地取引や土地登記によって、農民から土地が奪われ、サトウキビ農園に転換されつつあるのです。

【現地報告】農地収奪・作物転換の現状(続報)2012年2月13日http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/20120213.html

 農地契約を請け負う現地企業であるEcofuel 社は「土地の所有権の法的状況が曖昧であったり、所有権に問題のある土地では契約しない」との見解を示し、契約後に問題が発覚した場合は契約を破棄することを示してきました(2011年6月、国際NGO調査団との会合で回答)が、現実には、その対応も不十分であることが報告されています。

 農地賃貸契約を結ぶ際に提出された権利書が「正当であるように思われた場合」には、あえてその権利書の内容について精査することはないと思われます。今回FoEのサイトにて報告されているように、農民が権力者による立ち退き命令に負けず、脅迫にも負けず、所有権の真偽を、自ら調べて告発しない限り、問題が存在することすら明らかにはならないのです。 

 Ecofuel社が、農民が泣き寝入りしている事例まで、わざわざ調べに回ってくれるわけもないのであり、Ecofuel社からの報告のみでは、現地親会社のGFII社も投資側の伊藤忠商事他も真実をつかむすべはないのです。

 このバイオ燃料プロジェクトに投資している日本企業/伊藤忠商事が、「現地企業が所有権に問題のある土地では契約しない」と語っていることを根拠に、違法な土地取引や土地収奪がないと判断する根拠は明らかに揺らいでいます。 
 地域内の土地紛争に関して調査する第三者機関を設置し、透明かつ迅速に調査できるような仕組みを作るような、地域内の政治的・経済的な紛争のただ中に身をさらすような深いコミットメントをしない限りは、このバイオ燃料プロジェクトの正統性を保証することは難しいものと思われます。

 開発と権利のための行動センター
 青西靖夫

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