2012年1月29日日曜日

難しそうだ!モザンビークにおける土地所有

 

 アフリカはまだまだ縁遠くて、あまり勉強していない。しかしJICAのプロジェクトの件もあるので、少しずつ勉強してみようと思う。

 土地所有関連で基本データはUSAIDの”Land Tenure and Property Rights”のサイトであろうか。http://usaidlandtenure.net/usaidltprproducts/country-profiles/mozambique/country-profile-mozambique#Mozambique_Land

 次に検索で出てきたのが”STUDY ON COMMUNITY LAND RIGHTS IN NIASSA PROVINCE, MOZAMBIQUE,” これはおもしろそうだ。しかし私は英語は得意ではない・・・まあゆっくり取り組んでみたい。

 そもそも、JICAによるモザンビークプロジェクトの「準備調査報告書」は「EMBRAPA の研究者チームは、ニアサ州およびナンプーラ州のナカラ回廊の北西には約640 万ha にもおよぶブラジルのセラード類似土壌の存在を確認した。これらセラード類似土壌は、上記1)の調査対象地域の約12%程度しか占めていない(残る88%は、本調査の対象地域とした国道13号線沿いの12 郡外に分布する)。」(1)と記した上で、この地域を「機械化農業に適しているとして」プロサバンナ・プロジェクトの対象地域に含めた(2)。つまり準備調査を行わなかった地域をプロジェクト地域にあえて含めたのである。
 調査がなされていないのであるから、ニアサ州のどこが明確に対象とされているか、どのような土地所有になっているとも、どのような人々が居住し、どのように土地を含めた自然資源を利用しているのか、報告書のどこを読んでもわかるはずがない。 

そのような中で出会ったのが前述の2009年に発行された報告書である。” Study on Community Land Rights  in Niassa Province, Mozambique"


 これはニアサ州における植林プランテーション開発のニーズから始まっているようであるが、まず導入部分で、ニアサ州について次のように説明している。
「この州は大規模な農業投資、非農業投資のポテンシャルを有するが、ほとんど無人のように見える空間は、数百キロ離れた多くのコミュニティに占有され、移動耕作の統合的なシステムを通じて広範な資源が利用され、流域部はより集約的に利用されている。これらの地域への投資は、想像されるよりも難しい」(P9)
 こうした現状把握の上で、土地法はできたけれども、問題はある、さてどうすべきか、というところからこの調査が行われているのである。スタートラインが全然異なる。

 本書の結論部分では、協議のあり方の問題などが指摘されているようであるが、読むことはできていない。これからじっくり取り組んでいきたい。

 一方、この前のJICAの回答は「同地域は国有地であり、モザンビーク政府が定めた土地利用制度に基づき、将来モザンビーク以外の国からの民間資本による農地利用の可能性があるものと考えます。」とのこと。コミュニティの利益を守っていこうという思いは残念ながらどこにも見えない。

 さて、JICAはブラジル政府の意向を受けて、調査もせずにプロジェクトのターゲット地域を拡大してしまったが、コミュニティの土地利用を巡る紛争が生じないように、土地収奪が行われないように適切な法の施行、協議の実施、必要な場合には協議に関する細則制定に関わる支援、実施機関強化などを行っていけるのであろうか。それだけでも非常に困難なプロジェクトであろう。

 しかし最低限そのような制度確立がなされなければ、いくら「村落開発」のモデルを構築しても、コミュニティの農地が奪われたらそれで終わりである。またそうした制度の確立まで、ブラジル政府の動きを押しとどめるだけの政治力を有するのであろうか?

(青西)

(1)モザンビーク国 日伯モザンビーク 三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査最終報告書 8-2から
http://lvzopac.jica.go.jp/external/library?func=function.opacsch.toshoshozodsp&view=view.opacsch.newschdsp&shoshisbt=1&shoshino=0000252732
(2)付属資料    付属資料―2:Minutes of Meeting (2010 年3 月18 日)
(3)STUDY ON COMMUNITY LAND RIGHTS IN NIASSA PROVINCE, MOZAMBIQUE,
       Rapporter Institutionen för stad och land · nr 6/2009
http://sidaenvironmenthelpdesk.se/wordpress/wp-content/uploads/2011/06/Final_published_med_bild_p%C3%A5_omslag_Community_Land_Rights_Niassa_report_6_20091.pdf

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