2014年1月29日水曜日
「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発プログラム(ProSAVANA-JBM)」日本のNGO、研究者らによる現地調査報告書(暫定版)
転載モザンビーク開発を考える市民の会の公式ブログより
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/
本報告書は、日本がブラジルと共にモザンビークで実施する大規模農業開発プログラム(ProSAVANA/プロサバンナ事業)」に関し、2012 年11 月からアドボカシー活動に取り組んできた日本の市民社会組織や研究者による活動と現地調査並びに文献調査をまとめたものである。現地調査は、首都(マプート)及び北部3 州(ナンプーラ州4 郡、ニアサ州3 郡、ザンベジア州1 郡)において、2013 年7 月23 日から8 月18 日にかけて、日本から5 名のNGO 関係者と研究者によって実施された。その目的は、1)全般的なモザンビーク社会の現状の把握、2)対象地域における農業投資(アグリビジネスの進出等)が地域社会や環境に与えている影響(土地争奪など)についての実態調査(調査結果の詳細は第2章)、3) プロサバンナ事業の実施状況の把握(同じく詳細は第3章)、4)プロサバンナ事業に至るまでのモザンビークの農業政策の変遷と地元小農の生産努力と収穫に関する調査(詳細は第4章)、5)以上を踏まえての現地農民組織や市民社会組織の理解や意見(詳細は第5章)を把握することである。
要約
http://www.arsvi.com/i/findings_summary.pdf
縮小版
http://www.arsvi.com/i/ProSAVANA_findings_cso_tentative_s.pdf
2013年2月13日水曜日
2/28(木)18時~20時 オープン・セミナー 「モザンビーク北部における農業と食料安全保障~モザンビーク農民組織代表をお招きして」
【オープン・セミナーin東京大学(駒場)】
【日本アフリカ学会関東支部例会】【HSPセミナー】
モザンビーク北部における農業と食料安全保障
~モザンビーク農民組織代表をお招きして~
日時:2013年2月28日(木)18時~20時
場所:東京大学駒場キャンパス 18号館一階ホール
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_17_j.html
京王井の頭線 駒場東大前下車徒歩3分
共催:日本アフリカ学会関東支部(例会)、東京大学「人間の安全保障」プロ
グラム、(特活)アフリカ日本協議会(AJF)、(特活)日本国際ボランティア
センター(JVC)、(特活)オックスファム・ジャパン、No to Land Grab, Japan!
協力:モザンビーク開発を考える市民の会
定員:100名(事前申し込みが必要です)
以下の申し込みフォームに必要事項を記入してください。
定員に達した段階で申し込みを締め切ります。
※ 申し込みフォーム
https://docs.google.com/spreadsheet/viewform?fromEmail=true&formkey=dDZOUHNKNk9ScXZKbWVZQjVGdGlDakE6MQ
使用言語:日本語(ゲストは英語でスピーチし、会場用に日本語で逐次通訳)
お問い合わせ先:(特活)アフリカ日本協議会
電話 03-3834-6902/e-mail info@ajf.gr.jp
当招聘事業についてはこちらhttp://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-3.html
<背景情報> 最近日本でも、モザンビーク北部が注目される機会が増えてきました。同地域
は、気候・水・土地に恵まれ、モザンビークにおける農業の中心地であり、同国
の食料・輸出産品の生産地として重要な役割を果たし、戦後復興にも大きく貢献
してきました。そして現在、外国企業による投資だけでなく、ドナーによる援助
対象地としても急速に脚光を浴びています。
しかし、モザンビーク北部の農業の担い手の圧倒的多数は、長年にわたり地域に
暮らす小規模農民です。これらの小農の多くは、家族のため多種多様な日々の食料を生産しながら、余剰を市場に売り出すなどして生計を立てています。最近
は、気候変動による小雨や洪水、グローバル化に伴う農業投資の流入など、様々
な課題に直面しつつあります。
このように注目を集めるモザンビーク北部ですが、これまで日本には、同地域で
の農業・農村開発支援の実績はほとんどなく、かつ研究蓄積も不十分でした。そ
のため、今回モザンビーク最大かつ老舗の農民組織であり、全国2,200の農民協
会・組合の連合組織・UNAC(全国農民組織)の代表者らをお迎えし、モザンビー
ク北部を取り巻く環境の変化とこれら小農の農的営みについてお話しして頂きます。
また、同国で多様な環境問題に取り組み、国内外でその活動が高く評価される
JA(Justica Ambiental)から、環境と女性/ジェンダーの視点に基づく報告も行
われます。コメンテイターは、長年アフリカ農村地域での調査や研究に携わってきた吉田昌夫さんです。
本オープン・セミナーは、モザンビークやアフリカ、農民主権、食料問題などに
関心を寄せる研究者やNGO、実際に事業等に取り組む政府関係者や実務者、そして一般市民や学生を対象としています。お誘いあわせの上ご参加ください。
なお、申込みが必要となっております。
<当日の進行>
(1)趣旨説明(5分)(座長:西川芳昭さん(コミュニティコミュニケーショ
ン・サポートセンター テクニカルアドバイザー/名古屋大学教授)
(2)報告1(30分):「モザンビーク北部における農業と食料安全保障~小農の
視点から」
・アウグスト・マフィゴ(代表/全国農民連盟(UNAC)
・ヴィセンテ・アドリアーノ(アドボカシー&連携担当/全国農民連盟UNAC)
(3)報告2(20分):「モザンビーク北部農村における食料安全保障~女性./
ジェンダー、環境の視点から」
・シルヴィア・ドロレス(Justica Ambiental)
(4)コメント(各10分):
・吉田昌夫さん((特活)アフリカ日本協議会食料安全保障研究会/元中部大
学・日本福祉大学教授/日本アフリカ学会会員)
・日本政府関係者(調整中)
(5)質疑応答&オープンディスカッション&ラップアップ(45分)
<報告者の紹介>
UNAC(全国農民連盟) http://www.unac.org.mz/
1987年に設立された小農を代表し、その権利を守るためにできた農民組織です。
86,000名以上の個人会員、2,200の協会および共同組合、83つの郡レベルの連
盟、州レベルでは7つの連盟と4つの支部を擁しています。UNACは、2012年10月11日には、モザンビーク北部地域を対象とした「日本・ブラジル・モザンビーク三
角協力による熱帯サバンナ農業開発プログラム(略称プロサバンナ)」に対する
声明を発表しています。【ポルトガル語】http://www.unac.org.mz/index.php
/7-blog/39-pronunciamento-da-unac-sobre-o-programa-prosavana
【日本語】http://farmlandgrab.org/post/view/21204
Justica Ambiental(JA)
モザンビーク人自身による主体的な環境保護団体として、同国内の様々な環境問題に取り組み、世界的に高く評価されている団体です。特に、「ダム問題」「違
法伐採問題」では、身の危険を顧みず重要な役割を果たしてきました。違法伐採
問題については、日本のTBSのNEWS23での特集番組に協力しています。「変貌のモザンビーク~昇龍開発」http://www.tbs.co.jp/houtama/last/071118.html
また、JAは、JICA事業「アフリカ・アジアNGOネットワーキング事業」のため2007年に来日しています。http://www.jica.go.jp/press/archives/jica/2007/071015.html
また、同団体もプロサバンナ事業について声明を発表しています。
【日本語版】http://landgrab-japan.blogspot.jp/2013/01/justica-ambientalfoe.html
<関連情報>
両団体は土地問題にも取り組んでおり、成果の一つとして以下の報告書を発表し
ています。
Justica Ambiental & UNAC. (2011). Lords of the land - preliminary
analysis of the phenomenon of landgrabbing in Mozambique. Maputo,
Mozambique.
→http://www.open.ac.uk/technology/mozambique/pics/d131619.pdf
<プロサバンナ事業>
JICAが2009年より実施する「日本・ブラジル・モザンビーク三角協力による熱帯
サバンナ農業開発プログラム」の通称。
http://www.jica.go.jp/project/mozambique/001/activities/index.html
※ 来日するモザンビーク全国農民連盟(UNAC)の声明、モザンビーク研究者の
舩田クラーセンさやかさんの朝日新聞「私の視点」はじめ、関連資料を以下の
ページで読むことができます。
http://www.arsvi.com/i/2prosavana.htm
<農地は誰のものか>
2/27 ~アフリカの課題に応えるTICAD Vの実現に向けて~ 食料安全保障問題と『農業投資』が引き起こす土地紛争
議員会館学習会
モザンビーク農民組織・市民社会代表を迎えて
~アフリカの課題に応えるTICAD Vの実現に向けて~
食料安全保障問題と『農業投資』が引き起こす土地紛争
http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-4.html
日時:2013年2月27日(水)11時~12時
※ 要事前申し込み 2月25日締め切り
議員会館内へ入るために入館票が必要となりますので、参加希望者は以下を2月25日正午までに下記連絡先までお知らせください。
1)お名前、2)当日連絡可能な連絡先、3)ご所属
会場:参議院議員会館B104 (入館証70枚まで発行)
<背景説明>
今年6月、横浜市で「第5回アフリカ開発会議(TICAD V)」を開かれます。本会合は、1993年の第一回開催以来、我が国の対アフリカ関係の大方針を決める上で重要な役割を果たしてきました。一方、昨今は中国、韓国、インドなど、アジアの新興ドナーも「アフリカ・サミット」を開催するようになり、TICADは新たな
存在意義の模索を迫られています。
近年、アフリカ開発において最も大きな注目を集める課題の一つに、「農業投
資」と「土地争奪」の問題があります。2007年の世界的な食料価格高騰をきっか
けに再び増加に転じたアフリカの飢餓問題。これへの対応策として、アフリカ農
業への国際的な投資・支援の必要性が叫ばれれてますが、対アフリカ「農業投
資」の中には、外国への食料調達を目的に、現地農民から土地を収用してしまう
ものが含まれており、生計手段を奪われた農民による大きな抗議行動が各地で発生、政情不安の引き金になっているケースもあります。
そのような中、日本もブラジルとの協力のもと、モザンビークに対する大規模な農業開発支援を計画中ですが、現地の農民組織やNGOが、当事者への十分な説明がないまま計画が進められていることに強い懸念を表明しています。
国際社会のアフリカ開発に向けた基本姿勢が問われる中、TICADは「アフリカの
人びとためのアフリカ開発」の実現に向けて、どのようなリーダーシップを示すべきなのか。
本セミナーでは、緊急来日したモザンビークの農民団体の代表の声を聞くと共に、農業投資と土地の権利に関する国際的な規範作りの現状について報告します。
主催:(特活)アフリカ日本協議会(AJF)、日本国際ボランティアセンター(JVC)、(特活)オックスファム・ジャパン
協力:モザンビーク開発を考える市民の会
申込・問合せ:(特活)アフリカ日本協議会 電話 03-3834-6902 e-mail info@ajf.gr.jp
2013年1月29日火曜日
モザンビークにおける国際協力事業が引き起こす土地争奪~
財団法人 地球・人間環境フォーラム 「グローバルネット」 265号(2012.12)に掲載した記事に加筆修正したものです。またその後に補足記事を掲載しています。
ランドラッシュに巻き込まれる農村社会 ~モザンビークにおける国際協力事業が引き起こす土地争奪~
開発と権利のための行動センター 青西靖夫(あおにし やすお)
2012年10月11日、モザンビークの農民組織である「全国農民連盟(UNAC)」は、ブラジル-モザンビーク-日本の三角協力という形で実施されつつある「プロサバンナ・プロジェクト」について声明を発表。この事業に関する情報の不足、立案プロセスにおける透明性の欠如、農民組織の排除などを大きな問題であると訴えるとともに、この事業が実施された場合には、土地収用や移転によって土地なし農民が産み出されるとともに、社会的動乱の頻発、生計維持手段の減少による農村の貧困化などの問題が生じるであろうと告発した。[1]
本プロジェクトは、20年以上にわたるブラジルのセラード開発の経験をモザンビークの開発にいかそうと日本政府が積極的に進めるもので、 2009年7月のラクイラ・サミットで当時の麻生総理とブラジルのルーラ大統領の間で合意したことに始まる。これまでに「モザンビーク国日伯モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査」[2](2009年9月~~2010年3月)、「ナカラ回廊農業開発研究・技術移転能力向上プロジェクト」[3](2011年~)、「ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定支援プロジェクト」[4](2012年~)などを実施してきている。
ここでは農民組織の声明を踏まえつつ、このプロジェクトについて詳細に検討してみたい。
■プロジェクトのさまざまな問題点
①透明性の欠如
このプロジェクトの不透明性は単に農民に情報が発信されないことに起因するだけではなく、プロジェクトの立案・実施プロセスに不透明な部分が内在されていることによると考えられる。
準備調査報告書[2]によると、「『準備調査』は、国道13 号線沿いに、ナンプーラ州並びにニアサ州およびザンベジア州の一部を調査対象地域とした」とされている。しかしながら、この調査に参加したブラジルの農業研究機関であるEMBRAPAは、「商業規模(commercial scale)の農業生産投資をも可能にすべく」、調査の最終段階で調査対象地域外のナカラ回廊の北西部の640万ヘクタールの土地をプロジェクト対象地に組み込んだのである。([2]の6章及び付属資料を参照のこと)
(緑が当初の調査地域、右の地図のオレンジがJICAのプロジェクト実施に伴って追加されたことが把握される地域。黄色で囲んだ地域は追加されたと思われるが、現状での位置づけが把握できない。)
現在のモザンビーク全体の耕作面積よりも大きく、日本の農地面積より広大な土地を、誰がどのように利用しているのかも把握もしないままに、「機械化農業に適している」と記載された外交文書に国際協力機構(JICA)は調印したのである!
このように、このプロジェクトにはブラジル政府の意向が大きな意味を持っており、日本政府やJICAの意図を超えて動く可能性を秘めていることを理解しておく必要がある。それだからこそ、モザンビーク農民だけではなく、私たち日本国民も、納税者としてこのプロジェクトに対する監視を怠ってはならないのである。
それ以降、事前調査では含まれていなかった、北西部に位置するンガウマとリシンガがプロジェクト対象地域に含まれ、「技術移転プロジェクト」ではナンプラの試験場だけではなく700kmも離れた(東京-青森間に相当する!)リシンガの試験場も対象に加えられた。これがどのようなプロセスで追加されたのも定かではないが、果たして現実的にマネージできるのかという疑問も生じる。
② 情報の不足
農民側の情報不足はこのプロジェクトがそもそも農業開発の主体となるべき地域在住の農民ではなく、海外の投資家の方を向いていることから起きていると考えられる。それは国際協力機構(JICA)による「マスタープラン策定支援」に関するコンサルタント会社向けの業務指示書[5]を検討することで明らかとなる。
現地の農民組織が情報の不足を訴える一方で、JICAはコンサルタント会社に次のように求めているのである。
「本業務の実施に当たっては『モ(モザンビーク)』国及び周辺諸国への投資に関心を持つ我が国民間企業と十分な意見交換を行い、その意向を各種計画策定に反映させる」、「Quick Impact Projectの形成に際してはナカラ回廊地域の農業開発に関心を示す本邦企業から事前にニーズを聴取し、結果を反映させること」
農業開発計画の策定にあたって重要なのは地域の農民たちの声ではなく、投資に関心を持つ日本企業の声なのである。業務指示書のどこにも、農民の声を十分に反映させるようにという記述はない。農家の経済状況や土地利用などは既存データを収集して済ませ、農民組織の調査は現地で再委託、現地でのステークホルダー会議は関係機関、ドナー、民間セクターやNGOを含め50人程度集めればいいという指示であり、農民の声を聞こうという意欲はどこにも感じられない。
③農地収奪は起こるのか?
現地の農民組織は「プロサバンナは数百万ヘクタールの土地を求めているが、実際にはこれらの土地は移動耕作を行う農民によって利用されており、利用できる土地はない」と述べている。準備調査報告書も「当初のプロジェクト予定地域には大規模農業を展開する農地はない」と記載している。しかし上述したように、「商業規模の農業生産投資をも可能にすべく」、調査地域外であった640万haヘクタールがプロジェクトの対象地域に加えられた。これは明らかに農地収奪への第一歩である。
また2011年にはモザンビークの農業大臣はブラジルの投資家に対して、「北部4州において、600万ヘクタールの土地を、ヘクタールあたり9ユーロで50年にわたるコンセッションで提供できる」と伝えたと言われ、ブラジルの投資家も歓迎の意向を示していた。[6] 2012年4月の日本・ブラジルの官民合同ミッションにおいても、日本の商社マンはブラジル側の投資意欲に圧倒されたという。アフリカのビア・カンペシーナ(農民組織)は「このプロジェクトはアフリカでも最も大きく野心的な農地収奪であろう」と批判しているが、農地収奪は日本側のコントロールできないスピードで展開する危険性がある。
④「無責任な農業投資」と私たち
現地農民組織は土地なし農民の発生や生計維持手段の減少による農村の貧困化などの可能性を指摘している。日本政府は海外農業投資に伴ってこのようなことが起きないようにと「責任ある農業投資(RAI)」原則の確立を進めてきたはずであった。しかし今回のプロジェクトの中でRAI原則を実現するための方策が検討されているとは言いがたい。土地への権利、食料安全保障の確立、透明性の確保、協議と参加、これらの権利を農民に保証しようという配慮を読み取ることはできない。その一方で業務指示書では「住民移転計画の作成」すら求めているのである。本来、先にやるべきことは上記のような権利を保証するための方策を検討することであろう。
このプロサバンナ・プロジェクトは日本国民への「食糧安全保障」という名目で正当化されている。日本の商社は生産にも土地取引にも直接関与せずに流通面での支配をもくろんでいると思われる。
しかし日本国民が本当にこのようなプロジェクトを求めているのであろうか。内戦から解放されたモザンビークの「開発」のために、農民を土地から排除することを誰が願っているだろうか。
財団法人 地球・人間環境フォーラム グローバルネット 265号(2012.12)に掲載した記事に加筆修正したものです。
補足記事 2013年1月29日
慣習法的農地保有を保護するために
日本政府が積極的に進める「責任ある農業投資原則(RAI)」は次のような5原則からなる
- 土地及び資源に関する権利の尊重:既存の土地及び付随する天然資源に関する権利は認識・尊重されるべき。
- 食料安全保障の確保:投資は食料安全保障を脅かすのではなく、強化するものであるべき。
- 透明性、グッド・ガバナンス及び投資を促進する環境の確保:農業投資の実施過程は、適切なビジネス・法律・規制の枠組みの中で、透明で、監視され、説明責任が確保されたものであるべき。
- 協議と参加: 投資によって物理的に影響を被る人々とは協議を行い、合意事項は記録し実行されるべき。
- 責任ある農業企業投資:投資事業は法律を尊重し、業界のベスト・プラクティスを反映し、経済的に実行可能で、永続的な共通の価値をもたらすものであるべき。
- 社会的持続可能性:投資は望ましい社会的・分配的な影響を生むべきであり、脆弱性を増すものであってはならない。
- 環境持続可能性:環境面の影響は計量化され、リスクや負の影響の最小化・緩和を図り、持続可能な資源利用を促進する方策が採られるべき。
またローマで2012年に開催された第38回世界食料安全保障委員会(CFS)において、「国の食料安全保障における土地・漁業・森林の保有の権利に関する責任あるガバナンスについての任意自発的指針」が承認された。この指針は、土地、森林、漁業において所有あるいはアクセスできる権利を各国政府が保護するためのものである。この中で「非公式のシステムにおけるものであっても、正当な保有権を公認し保護すること」定められている。[7]
プロサバンナプロジェクトは、RAIのモデルとして位置づけられているが、当然のことながら、FAOの指針にも沿うものであることが求められている。
しかしモザンビークは慣習法的な土地利用が広範に広がっており、慣習法的な土地所有の上で、プロジェクトを展開していくには多々困難が待ち受けているものと思われる「民間投資を受け入れてプロジェクトを実施」という前に、「慣習法的な土地保有」をいかに承認し、保護していくかというのは非常に難しいテーマである。
以前JICAに送付した質問書への回答で「国有地である」といった安易な回答があったが、そういうことでは対処できないのである。[8 ]
ところが2001年に刊行された南部アフリカ援助研究会の報告書には、懸念される点が適切に指摘されているのである。(モザンビーク 本編P40- [9 ] )
以下一部抜粋
2-2 農地政策
約8,000 万 ha の国土のうち、1,800 万 ha ほどが農耕に適している土地である。---土地に限ってはいまだに国有のままである。しかし土地の保有権は認められており、農村では伝統的首長が慣習的秩序に従って土地を配分することが一般的である。---従って、農地保有権(land title)の確保・安定化が当面の課題となる。1987 年に小農民保護を目的とする新しい条項が土地法に追加され、伝統的に耕作していた土地に対する小農民の権利を自動的に認めることになって、小農民は土地保有権証書を取得する権利が与えられた。しかし、その実績は上がっていない。---、土地の保有権申請の登録システムがきわめて貧弱であることを認めている
この場合の論点は3 つあるだろう。共有地の配分という慣行への親しみ、申請書類の事務処理能力、非識字者や社会的弱者に対する権利侵害の3つである。第1 の共有地の配分についてはすでに述べたが、この慣行は個人分割を前提とする土地保有権になじまない。また技術的にも、境界の確定や個人への割付が利害と関連して大変難しい。あるいは、農地、放牧地、薪炭林用地などの区分も問題となりうる。第1の問題をクリアーして申請書類を提出したとしても、迅速かつ適切に処理される保証はない。そこで、1997 年の土地法に基づく農村向けの規制が1998 年12 月に承認され、その適切な実行と強化が優先度の高い政策に位置付けられることとなった。---
最大の課題は3 番目の問題である。いくら、土地法が小農民の土地アクセスに対する伝統的権利を認定すると言っても、彼ら/彼女らが必ずしもその存在を知っているとは限らないし、知っていても申請手続きを進める術を持つとは限らない。また、土地法が伝統的権威の介入を認めているので、女性などの社会的弱者が不利に扱われる危険性もないわけではない。さらに、民間資本などによる土地購入が、従前の耕作者である小農民を追い出しているケースも散見される。そこで、少なくとも農地保有権確保のための識字教育やその仕組みの広報キャンペーンが、早急に実践されるべきである
2-6-3 土地改革に関する事務処理の迅速化支援と農民「啓発」
1997 年土地法による土地保有権の法的保障は小農民の存続基盤としてたいへん重要であるが、その存在すら知らない農村住民たちが圧倒的に多いと推測される。いったん土地保有権が確定されてしまうと、その変更には多大な努力を要する。そこで、農村住民に対する情報提供・啓発・識字教育は緊急度の高い優先事業に位置づけるべきである。同時に、州レベルの事務処理の迅速化を図る支援手段を考慮する必要があろう。
大変重要な指摘である。今回のようなプロジェクトを行うに当たって、RAIの観点からもFAOの指針の観点からも、上の指摘について十分配慮する必要がある。指摘されているような点について現状が把握され、そこへの対策が組み込まれることない「農村開発プロジェクト」は存在しないと考えるべきであろう。
そこでまず下記のような点についての精査を求めるべきと提起する。
1)現状として土地保有権の認定状況はどうなっているのか。
2)慣習法的土地保有と個人的所有はどのように調整されているのか。
3)手続きへのアクセスはどうなっているか。
4)女性の土地へのアクセスは保証されているか。
5)更に土地紛争が生じた時の解決手段はどのように整備され、またアクセス可能か。
開発と権利のための行動センター
青西靖夫
セラード開発プロジェクトとモザンビークのProsavana
ブラジルのセラード開発の問題点についても知見が深い、印鑰氏が、モザンビークにおける JICAプロジェクトについて、ブログに記事を掲載しています。(2011/11/17)
プロサバナ計画に関する Justiça AmbientalおよびFOE モザンビークの立場
プロサバナは、プロデセール(PRODECER)、すなわち1970年代以降にブラジルのセラードにおいて行われた日本ブラジル農業開発計画に着想を得たものである。ブラジル、日本、モザンビークの各国政府によって成功例として引き合いに出されるプロデセールは、外国人(訳者注:ヨーロッパ系や日系移民とその子孫)に対する土地の分配と所有を促進し、その結果、ブラジルは海外において不当な手段で土地を奪う行為の熱心な促進者となった。
6500万人のブラジル人が食料危機に直面し、数百万人の人々が生存手段を保証す食料生産のために土地へのアクセスを求めるブラジルにおいて失敗した農業開発モデルを、ブラジルはプロサバナを通じてモザンビークに輸出しようとしている。この経験は、農民の生活森林、そして同国の生態系に及ぼしたインパクトと比較するとき、ブラジルのモデルにおける利益が無意味であることを示している。
プロサバナ計画は、「緑」という洗練された言葉によって巧みに装飾され、モザンビーク人および国際社会に「持続可能な農業開発」計画として提示されたが、同時にもたらされるであろう社会的かつ環境的インパクトの可能性は完全に除外された。しかしながら、この規模の開発計画は、共同体の再移転が必要となることが予測されるが、当事者である共同体がその事態について僅かにあるいは何も知らないことが懸念される。本件は、農民や現地の共同体を包摂することなく極めて高い次元で立案・決定されたものである。
日本は、プロサバナを通じて国外における安価な農産品の新たな供給源を確保しようとしている。その最終目的は日本や中国といったアジア市場への輸出である。 ブラジルは、プロサバナを関連生産者および起業の拡大、技術協力、そして格好の投資対象と見なしている。
そしてモザンビークにとっての利益は何であろうか。 本件の推進者たちにとって根本的な問題は、ナカラ回廊のほぼすべての土地が農民によって占有されているということである。同地域は国内でも最も人口が密集する地域である。つまりは肥沃な土地と十分な降雨が数百万人の農民が働き、豊富な食料を生産することを可能にしているのである。ナカラ回廊は同地域の穀倉地帯として知られ、北部諸州の住民らに食料を供給し、数百万世帯の生存を可能にしている。
プロサバナの正当化と意図は、土地の接収を促進し、その土地に依存する数百万の現地の農民を搾取することにある。プロサバナは、市民社会組織、なかでも全国農民連合(União Nacional de Camponeses: UNAC)によって既に議論され、否認された。UNACは1987年に設立された小農部門の農民による運動であり、モザンビーク政府によってパートナーとして認識され、農民にとっては全国レベルで自らの利害を代表する団体として認識されている。この25年間、UNACは土地と自然資源に対する農民の権利や、農業分野における公共政策をめぐる議論において農民組織の強化に必要不可欠な役割を果たしてきた。86,000名以上の個人会員、2,200の協会および共同組合、83つの郡レベルの連盟、州レベルでは7つの連盟と4つの支部を擁している。
Justiça Ambientalはプロサバナ計画に対するUNACの反対声明を支持する。
Justiça AmbientalおよびFOEモザンビークは以下の点において、プロサバナ立案と実施の全ての過程を性急に非難する。
1. 上意下達(トップダウン)式の政策の移入に基づき、公開されている情報は現在に至るまで不完全であり、不明瞭である。
2. 本件は、「持続可能な農業開発」として暗示的に小農や農民組織を主な対象としているように思われるが、共同体の移住と土地の収奪が予測される。
3. ブラジル人農場経営者らの参入は、モザンビーク人農民を安価な労働力になり下がることを余儀なくする。
4. 休耕地という土地利用の在り方に基づき、実際には利用可能な状態にない数百万ヘクタールもの土地を必要としている。
5. 本件の立案と実施によって農民が受けられる恩恵は不明瞭である。
6. 本件は、概して農民と地域社会の土地の接収を加速させる形で構想されている。
7. 土地所有を危険に晒す状況を引き起こし、「土地利用に関する権利(Direito de Uso e Aproveitamento de Terra, DUAT)」に示された農民の諸権
利を脅かすものである。
8. 大規模な利害が絡み、汚職と利害対立を悪化を加速させる。
9. その生活を全面的に農業生産に委ねている多くの現地の共同体の不安定な生活条件を悪化させるものである。これらの共同体は、耕作すべき土地なくしては、生存のための代替手段もなく、その結果、本件は大規模な農村人口の流出を引き起こす可能性がある。
10. 本件は、高度な機械化と、化学肥料や殺虫剤といった化学製品の過剰な使用が見込まれ、土壌と水質の汚染が予測される。
11. EmbrapaがMonsantoとの関係が予測されるにもかかわらず、遺伝子組み換え作物の使用の如何については決定的に透明性を欠いている。
我々は、モザンビーク国家が、モザンビーク共和国憲法第11条に明記された合意に基づき、その主権を全うし、国民の利益の擁護のために主導的役割を果たすことを要求する。
さらに、我々は、モザンビーク政府が、モザンビーク国民とりわけプロサバナに最も影響を受け、かつモザンビーク国民の大半を占める農民の希望、憂慮、そして必要性を考慮し、プロサバナの評価を見直すことを求める。既に提案された文脈において、プロサバナは、食料に対する主権、土地や水資源へのアクセス、そして数百万世帯のモザンビーク人の社会構造を危機に曝し、国民の未来を破壊するものであ
る。
2013年1月 マプトにおいて
日本語訳文はは舩田クラーセンさやか氏より提供されました。
2012年12月11日火曜日
カンボジアにおけるキャッサバ農園とバイオエタノール生産(出光興産)
出光興産株式会社はインドシナ地域においてバイオエタノール事業を推進するため、2012年12月7日に、プノンペン市にてカンボジア政府との覚書に調印。1)
日刊工業新聞の報道によると、カンボジアの農園でキャッサバを栽培し、これを原料にバイオエタノールを生産する計画であり、現地政府機関がすでに約1万ヘクタールのキャッサバ畑を確保しているという。また工場はカンボジアのほか、主要な販売先となるタイでも検討しているとのことである。2)
この事業に関連して、出光興産は経済産業省による「平成 23 年度民活インフラ案件形成等調査 カンボジア・メコン川上流西岸地域農業・物流インフラ整備事業」を受託しており、調査報告書がWEBサイトに掲載されている。3)
この資料によるとキャッサバ向けの2万ヘクタールを含む5万ヘクタールの開発、将来的には隣接する5万ヘクタールの開発も計画しているとのことである。この報告書では「現時点では、プロジェクトサイトに住民の存在は確認されていない」と記載されている。また水運によるカワイルカ等の影響の可能性が指摘されている。
1)http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2012/121210.html
2)http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820121211caan.html
3)http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2012fy/E001988-1.pdf
http://www.jetro.go.jp/jetro/activities/oda/model_study/earth_infra/pdf/h23_saitaku_20.pdf
開発と権利のための行動センター 青西
2012年3月8日木曜日
フィリピン・イサベラ州バイオエタノール事業 「早急な問題解決を!」日本企業に対応を求める文書提出
(FoE サイトからの転載です。
フィリピンのバイオエタノール事業の実施に伴い起きている現地での問題を早急に解決するため、積極的な対応をとるよう求める文書を伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠商事)に提出しました。
文書を提出したのは、国際環境NGO FoE Japan、開発と権利のための行動センター、“No! to Landgrab, Japan”の日本のNGO・市民団体です。
フィリピンで最大規模となる同バイオエタノール事業は、伊藤忠商事と日揮株式会社が出資し進められていますが、原料であるサトウキビの農地 11,000ha(東京ドーム2,353個分)の確保をめぐり、これまでにも、農地収奪や土地利用転換、労働搾取等の問題が指摘されてきました。
こうした問題について、同企業はこれまでNGOに対し、「現地企業が対応する」と回答。しかし、日本企業のパートナーである現地企業は、地元住民から直接訴えを受け、こうした問題を把握しているにもかかわらず、真摯な対応を取っているとは言えず、問題は解決されないまま現在に至っています。
NGO3団体はこうした現状を踏まえ、今回、伊藤忠商事に提出した文書のなかで、以下のような問題を再度指摘しています。
1.サトウキビ栽培地の確保をめぐる土地収奪の助長と生計手段への影響、人権侵害
2.サトウキビ栽培地の確保をめぐる無秩序な土地利用転換
(コメ・トウモロコシ等の食料生産地や森林地域からの転換のケース)
3.サトウキビの栽培に従事する農業労働者の労働条件・環境の問題
(法定最低賃金の不遵守、賃金未払い、福利厚生の未提供等のケース)
4.バイオエタノール製造・発電所の建設に従事する労働者の労働条件・環境の問題
(法定最低賃金の不遵守、福利厚生の未提供等のケース)
また、日本企業「自らが率先して現地の状況を把握し、問題解決のために適切に対処していくことが、企業の社会的責任(CSR)の取り方」だとし、同企業に対し、主に以下のような点を求めました。
・法的な擁護を受けにくい農民、先住民族、農業労働者、契約労働者などに対する特別な配慮と人権侵害を回避するための対処
・早期の問題把握に向けた実効的な苦情処理メカニズムの確立と地域社会の農民、先住民族、労働者、また、NGOとの直接対話
・法的には土地権に問題がないと見せかけている土地での契約を早急に破棄/回避するための実効的な施策
・契約労働者を含む労働者の人権を確実に尊重し、擁護できるよう、労働条件・環境を改善するための実効的な施策
バイオエタノール工場の建設工事はこの2月にほぼ終わり、5月には商業運転の開始が見込まれていますが、現地で起きている問題を早急に解決し、今後、同様の問題が拡大することを未然に回避するためにも、日本企業は、対応を現地企業にのみ任せるのではなく、同社のCSR方針、また、同社も賛同する国連グローバル・コンパクト10原則等の国際基準に則った、迅速かつ積極的な対応を求められています。
>提出文書の本文はこちら[PDF]
>同事業の詳細について
●本件に関するお問い合わせはこちらまで
国際環境NGO FoE Japan 担当:波多江
TEL: +63-929-560-9896(フィリピン) Email: hatae@foejapan.org
2012年2月26日日曜日
グレインが農地収奪に関する新しいデーターを公表/モザンビークを概観
このデータは2006年以降の、それぞれの国に対する海外農業投資を集約したものであり、そのほとんどはFarmlandgrabのサイトに報告されたものに依拠しているとのことである。
GRAIN releases data set with over 400 global land grabs(2012/2/23)
http://www.grain.org/article/entries/4479-grain-releases-data-set-with-over-400-global-land-grabs
(数字の記載ミスがあったのでいくつか修正しました。)
この中でモザンビークに焦点を当てて概要を報告する。
1)耕作面積
まず海外農業投資に目を向ける前に、モザンビークの耕作地面積を把握してみたい。
JICAの報告書によると「農耕可能地については約3,600 万ha と報告されているが、実際の耕作地面積はこのうちの16%に相当する570 万ha である」とのことである。
FAOのデータベースでは(2009)、農業用地が約4930万ha、耕作地が約505万ヘクタール、林地が約3923万ヘクタールとされている。(農業用地と林地で総土地面積の7863万haを上回る)
USAIDのサイトは耕作地は380万~530万ヘクタールであろうと見なしている。
つまり土地利用を明確に把握するデータは存在していないというのが実態であるのだが、とりあえず500万ヘクタールを耕作地として考えてみる。
2)GRAINのデータ
GRAINのデータベースによると2006年以降のモザンビークにおける農業投資案件として25件、1,583,149ヘクタールがリストアップされている。現在の耕作面積の30%である。これらがどのような土地で進められているかはわからない。
またこのうちの120万ヘクタールはエタノール生産向けと思われる。
3)JICA-ブラジル-モザンビークプロジェクト
このプロジェクトの準備調査が対象としたナンプーラ州についてJICA報告書は「ナンプーラ州における農地面積は約459 万haと推計され、そのうちの約31%に相当する145万haが耕作地として利用されている」と記載し、一戸あたりの平均所有面積は1ha、またナンプーラ州では70万の農家が存在するとされている。
GRAINのデータベースにある農業投資の総面積は、150万世帯が影響を受ける可能性も秘める規模なのである。
では、果たして、JICAが調査も行わずに、プロジェクト対象地域に含めた、日本の農地面積より広大な、640万ヘクタールは一体どのような土地なのだろうか。少なくともJICAの報告書には明確に示されていないのでわからない。その面積は現在のモザンビーク全体の耕作地よりも大きく、モザンビークの「農業用地(可耕地を意味するのであろう)」の20%近い。このような膨大な面積が「機械化農業に適している」と記載された外交文書に、JICAは調査もせずに調印しているのである!
4)GRAINのデータから把握できるもう一つの問題
今回の三角協力のブラジル側カウンターパートであるEMBRAPAについて、既にブラジルの鉱業開発企業とのジョイント・ベンチャ-でモザンビークに投資することが報告されている。3万ヘクタールのオイル・パーム生産を行うとのことである。
モザンビークにおける収益事業にコミットしているEMBRAPAが、公的事業として行われるJICAの国際協力事業に、ブラジル政府側のカウンターパートとして組み込まれていることは問題ではないだろうか。
またGRAINのデータにあるように膨大な海外農業投資がすすみつつあり、今後様々な問題が発生することが予見される時代に、上記のような投資計画にもコミットしているブラジルのEMBRAPAと組んで、海外農業投資、大規模農業開発のために税金を投入することの是非が強く問われる。
放っておいても民間企業が進めるであろう事業の片棒を担ぐのではなく、小農民の権利と生活を守るためにこそ、私たちの税金が利用されるべきなのである。
モザンビークに関するデータ抽出分はこちら
2012年2月8日水曜日
フィリピン バイオエタノールプロジェクトを巡る問題
FoE Japan のサイトに日本の伊藤忠商事などが投資するイサベラ県のバイオエタノールプロジェクトを巡る問題が報告されています。
1)2月7日 【現地報告】未解決かつ拡大しつつある農地収奪・作物転換の現状
http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/20120207.html
この報告では、先祖から耕作してきた土地であるにも関わらず、よそ者によって自分の土地が登記され、エタノールのためのサトウキビ生産の契約が結ばれてしまったケースを複数報告しています。
また土地紛争は、最初の事業計画地であるサン・マリアーノ町から、近郊へ拡大、輸出されつつある!とのことです。
伊藤忠などの投資を受け、現地で事業を進めるGFII社とECOFUEL社は、「土地の所有権の法的状況が曖昧であったり、所有権に問題のある土地では、契約しない」 との見解を示し、契約後に問題が発覚したケースに関しては、契約を破棄する方向性を示してきました(2011年6月の国際NGO現地調査団との会合における回答)にもかかわらず、こうした問題が続いていることを、この報告は指摘しています。
2)1月29日 工場建設労働者が正当な利益供与を訴えストライキ
http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/20120129.html
この報告はバイオエタノール製造工場の建設労働者によるストライキと労働者の告発を報告している。
204名の労働者が、法的に定められた給与の未払い、不当解雇、不当な契約手続きの強要、正当な社会保障手続きなどを求めてストライキを実施したとのことです。
詳細はリンク先の報告を読んで頂ければと思います。
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1)にあるような、土地が慣習的に利用されてきた地域で、今回のような開発事業が入ることによって、行政や権力に近いものが土地登記を都合よく操作して、土地を取得するというのは何世紀も続いてきた問題であり、それをまた繰り返すことは許されることではありません。
また報告にあるように、日本企業側は対応を現地企業任せにするのではなく、自ら現地の状況を把握し、問題解決のために適切に対処することこそ、企業の社会的な責任の取り方であると考えます。法的な擁護を受けにくい農民や先住民族の権利を認め、尊重する方針を明確に示し、率先してその方策を提示し、実現することこそ社会的な責任を担っていくことを意味すると考えます。
青西靖夫(開発と権利のための行動センター 理事)
2012年1月5日木曜日
JICA モザンビーク案件に関する質問書への回答
国際協力機構(JICA)よりの回答です。
回答から簡単に整理します。
-現時点での計画書は「日伯モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査報告書」の別添資料にある三カ国MOUのみである。
MOUは了解覚書(りょうかいおぼえがき、Memorandum of Understandingの略)の意味で、現時点では英文の文書しか公開されていないということとなる。
-2012年2月より「ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定プロジェクト」が開始され、その中で開発計画が定められる。また既に開始されている農業研究プロジェクト、農業開発マスタープラン策定事業を実施する中で、大中小農業の共存を通じた地域の農業開発の在り方を検討していく
-公的資金、民間資金による土地取得は、現時点では予定されていないが、対象地域は国有地であり、モザンビーク政府が定めた土地利用制度に基づき、将来モザンビーク以外の国からの民間資本による農地利用の可能性があるものと考える。
この回答から読み取れるものは、大規模農業の支援を含めたプロジェクトが実施され、またモザンビーク政府の方針のもと、対象地域である「国有地」における民間資金等による土地取得に基づく大規模農業が行われる可能性を含んだプロジェクトであるということである。
また、この「準備調査報告書」は、次のように記している。
「ブラジル側(EMBRAPA)は独自の調査結果をも踏まえて、ナカラ回廊地域の農業開発について、調査の最終段階で以下の提言をした。」
「『準備調査』は、国道13 号線沿いに、ナンプーラ州並びにニアサ州およびザンベジア州の一部を調査対象地域とした。しかしながら、この地域には、①大規模農業を展開する農地はない」
「EMBRAPA(注:ブラジルの研究機関) の研究者チームは、ニアサ州およびナンプーラ州のナカラ回廊の北西には約640 万ha にもおよぶブラジルのセラード類似土壌の存在を確認した。これらセラード類似土壌は、上記1)の調査対象地域の約12%程度しか占めていない
(残る88%は、本調査の対象地域とした国道13号線沿いの12 郡外に分布する)。
つまり、ブラジル側の「大規模農業を展開する農地」という意向のもと、JICAは「準備調査」段階では想定してもいなかった地域を、「急遽」プロジェクト地域に含めることとし、かつその土地は「国有地」であるので、民間資本による(大規模)土地取得が起こりえることを許容しつつ、その土地における大規模農業の展開をも支援していこうとしているのである。
どのような土地であるのか、当方が質問した「対象となる土地の現在の権利状況、利用状況」についても、「国有地である」との一面的かつ断片的な情報のみを有するだけであるにもかかわらず、プロジェクト対象地域に組み込み、大規模機械化農業を推進しようとしているのである。
アフリカにおいては、複雑な利用慣行と権利関係のもとにあることが多々指摘されている「国有地」であるにも関わらず、JICAは、モザンビーク政府の方針に従うことで、責任を回避できると考えているのであろうか。(文責 青西靖夫)
当案件についての関連情報はこちら
http://landgrab-japan.blogspot.com/2011/09/blog-post.html
以下、回答書
別途 pdf文書を添付する。pdf文書がオリジナルである。
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/JICAmozambique.pdf
2011年12月27日
No! to Land Grab, Japan御中
独立行政法人国際協力機構アフリカ部
「日伯モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム」に関する御質問への回答について
平素より当機構へのご支援を頂きまして誠に有難うございます。さて、2011年12月10日付でお寄せいただいたご質問に対し、別紙のとおり回答いたしますところ、ご確認頂ければ幸いです。
以上
(別紙)
2011.12.27
JICAアフリカ部
No!toLandGrab,Japanからの質問への回答
1. 最終合意された計画書について
公開されているサイトなどでは最終調査報告書を含め経過的な資料については提供されていますが、成案となった計画書を提供いただくことは可能でしょうか。
(回答)現時点で計画書と呼びうるものは、「日伯モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査報告書」別添資料の三カ国MOUのみです。2012年に開始するナカラ回廊農業開発マスタープラン策定プロジェクトの結果を受け、開発計画が策定されていくことになります。
2. 計画の進捗状況と計画の終了時期について
(1) 本計画は概ね2010年~2014年期の第1段階、2015年から始まる第2段階がありますが、現在の進捗状況を概括的に教えていただけますか。
(回答)2011年5月より「ナカラ回廊農業研究・技術移転能力向上プロジェクト」を実施中です。また、2012年2月より「ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定プロジェクト」が開始予定となっております。第2段階に関しては現時点では具体的な構想は議論されておりません。
(2) また、公開された資料では第2段階の終了時期が曖昧ですが計画の終了時期をいつに設定されていますか。
(回答)現時点では特に明確な終了時期を想定しておりません。事業の進捗状況等を見極めながら三カ国で決定していく事項と考えております。
3. 投資に際しての地域住民・農業者、環境への配慮などについて
この点については、日本政府の「行動原則」においても掲げられています。また、モザンビークにおける多くの事例はこの点での不充分さが海外報道でも指摘されています。
(1) どのように実施されたのでしょうか、あるいはされる予定でしょうか。
(回答)現時点では当機構の事業に関連する投資は行われておりません。
(2) 地域利害関係者への配慮に関して、手法・同一地域での開催頻度・関係者の参集状況・反応について教えていただけますか。
(回答)これまで「ナカラ回廊農業研究・技術移転能力向上プロジェクト」に関連する調査実施時には、リシンガ(ニアッサ州)、ナンプラ(ナンプラ州)周辺において社会調査を実施し、また地域住民団体代表者の参加を得たワークショップ(1回、約30名が参加)を行い、三カ国協働で事業計画を作成しております。これら一連の活動はモザンビーク政府関係者からは好意的に受け入れられております。
環境配慮について、その実効性を担保する法的・行政的な措置などはあるのでしょうか。また適切なものをお考えでしょうか。その理由・根拠は如何なるものでしょうか。
(回答)JICAが定めた環境配慮ガイドラインのみならず、モザンビーク国環境活動調整省が環境法に基づき環境影響評価を行います。
4. 「地域農業開発計画」と「商業的規模の農地への投資」について
2010年3月の調査報告書によれば、本計画は「環境保全に配慮した持続可能な農業開発の実現」を目指したものと考えますが、その中に①付加価値の高い輸出志向型を含むアグロインダストリーを起点とした地域農業開発計画の推進、②640万haの商業的規模での農地への投資と大規模農業生産という性格の異なる2つの計画が含まれていると理解します。
(回答)既述した農業研究プロジェクト、農業開発マスタープラン策定事業を実施する中で、大中小農業の共存を通じた地域の農業開発の在り方を検討していくこととしており、その結果はモザンビーク政府により活用されることとなります。
(2) 前者①の計画と②の計画の対象地域の重なりはあるのでしょうか。
(回答)①②の共存を目指しており、対象地域に重なりが出てくる可能性はございます。
(3) 対象地域の重なりの有無に限らず、既存の耕地が570万haほどであるのに対してブラジル型の大規模農業投資の対象が640万haに及ぶことは、当初の計画の狙いである中小規模農家を対象とする地域農業開発計画をも頓挫させる懸念を持たざるを得ません。また大規模企業的経営と農民的経営の競合により自給的農業、家族経営農業の脱落が必至と考えます。
この点について如何お考えでしょうか。
(回答)本事業は大中小規模農業の共存を目指すものであり、中小規模農家を対象とする地域農業開発計画を頓挫させないための開発モデルを策定することが事業の目的の一つです。今後もこのモデルづくりに資する事業をモザンビーク政府と協働で実施してまいります。
5. 本計画においてモザンビーク以外の国からの公的あるいは民間資本による農地取得(利用あるいは占有)は予定されていますか?
(1) 権利取得が有り得る場合、対象となる土地の現在の権利状況、利用状況はどのようになっているでしょうか?
(回答)現時点では予定されておりません。同地域は国有地であり、モザンビーク政府が定めた土地利用制度に基づき、将来モザンビーク以外の国からの民間資本による農地利用の可能性があるものと考えます。
最後に本事業の計画及び当機構の取組イメージに関しましては、JICA-NET教材「アフリカ熱帯サバンナ農業開発協力事業~ブラジルの成功事例をアフリカへ~(URL:http://jica-net.jica.go.jp/dspace/handle/10410/705)」にて紹介していますので、貴協会の会員の皆様にも広くご参照頂ければ幸いです。
2011年12月14日水曜日
JICAへの質問状 モザンビーク案件について
独立行政法人 国際協力機構御中
No! to Land Grab, Japan
世話人 青西 靖夫
大野 和興
近藤 康男
他有志
表題の計画は長期に渡り広大な面積で農業開発を進めるものであり、透明性を確保しつつ慎重に進めるべきものと考え、下記の質問状をお送りする次第です。本旨とする点をご理解いただき、速やかに回答をいただければ幸いです。
また、特に公開を避けるべき必要がなければ、質問状及び回答については下記に記したサイトに掲載する予定であること申し添えます。
敬具
1.最終合意された計画書について
公開されているサイトなどでは最終調査報告書を含め経過的な資料については提供されていますが、成案となった計画書を提供いただくことは可能でしょうか。
2.計画の進捗状況と計画の終了時期について
(1)本計画は概ね2010年から2014年期の第1段階、2015年から始まる第2段階がありますが、現在の進捗状況を概括的に教えていただけますか。
(2)また、公開された資料では第2段階の終了時期が曖昧ですが計画の終了時期をいつに設定されていますか。
3.投資に際しての地域住民・農業者、環境への配慮などについて
この点については、日本政府の「行動原則」においても掲げられています。また、モザンビ-クにおける多くの事例はこの点での不充分さが海外報道でも指摘されています。
(2) 地域利害関係者への配慮に関して、手法・同一地域での開催頻度・関係者の参集状況・反応について教えていただけますか。
(3) 環境配慮について、その実効性を担保する法的・行政的な措置などはあるのでしょうか。また適切なものお考えでしょうか。その理由・根拠は如何なるものでしょうか。
4.「地域農業開発計画」と「商業的規模の農地への投資」について
2010年3月の調査報告書によれば、本計画は「環境保全に配慮した持続可能な農業開発の実現」を目指したものと考えますが、その中に1)付加価値の高い輸出志向型を含むアグロインダストリ-を起点とした地域農業開発計画の推進、2)640万ha の商業的規模での農地への投資と大規模農業生産という性格の異なる2つの計画が含まれていると理解します。
(1)後者の2)はブラジルからの提案が受け入れられたものと理解しますが、これに対する貴機構の具体的な参画、責任はどのような内容のものでしょうか。
(2)前者1)の計画と2)の計画の対象地域の重なりはあるのでしょうか。
(3)対象地域の重なりの有無に限らず、既存の耕地が570万haほどであるのに対してブラジル型の大規模農業投資の対象が640万haに及ぶことは、当初の計画の狙いである中小規模農家を対象とする地域農業開発計画をも頓挫させる懸念を持たざるを得ません。また大規模企業的経営と農民的経営の競合により自給的農業、家族経営農業の脱落が必至と考えます。
この点について如何お考えでしょうか。
5.本計画においてモザンビ-ク以外の国からの公的あるいは民間資本による農地取得(利用あるいは占有)は予定されていますか。
(1)権利取得が有り得る場合、対象となる土地の現在の権利状況、利用状況はどのようになっているでしょうか?
その他:回答をいただく場合は、12月末までに、資料を添付の上 .........@..... に
メ-ルでいただければ幸いです。
以上
2011年9月26日月曜日
モザンビーク:土地収奪につながるJICAプロジェクト
「モザンビーク国日伯モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査 最終報告書」(2010.3 JICA)によると、この地域での「農業開発は、農家の大多数を占める小規模農家の支援と付加価値の高い農業の展開を通じた地域農業の振興を目指して、『アグロインダストリーを起点とした地域農業開発の推進』」を提案する」としている。また「村落レベルの開発モデル構築プロジェクト」の終了時期を2014年と予定している。
しかしながらブラジルからの投資拡大を狙うモザンビーク政府、また投資先の拡大を狙うブラジル企業の動きは、このようなプロジェクトを上回るスピードで動き、地域農民の土地が奪われる危険性が高まっている。既にブラジル側の要請とモザンビーク政府の賛同を受けて、「商業規模(commercial scale)の農業生産投資をも可能にすべく」、想定外であった640万hがプロジェクトの対象に加えられている。日本からの円借款や技術協力を利用しつつ、ブラジルを中心とした投資が促進され、農民が土地が奪われていく危険がある。
8月14日の"Folha de S. Paulo"紙の記事は、モザンビークのパチェコ農業大臣の話しとして、「ブラジルのセラードにおける開発を再現したい」、「北部4州において、6百万ヘクタールの土地を、ヘクタール当たり9ユーロで50年にわたるコンセッションで提供できる」と伝えている。更にこの記事では、ブラジルの生産者や投資家側がモザンビークへの進出に前向きであるこという。グロッソ・綿花生産者協会のアウグスティン氏は「モザンビークは、アフリカの中心にあるマット・グロッソであり、ただで土地が手に入り、環境面での条件も多くはなく、更に中国への船賃も安くすむ」と歓迎の意向を示しているという。今日、マット・グロッソでは、伐採・開墾への許可を得ることはほとんど不可能だという。[2]
その後、農業大臣は土地のコンセッションについて記事は歪曲されていると打ち消しに躍起になっているようであるが、土地のコンセッションが農業大臣の権限の元にはないという点についての説明に留まり、将来的なコンセッションの可能性を何ら否定するものとはなっていない。[3]
そもそも、三角協力の一環として開催された「モザンビークにおけるアグリビジネスへの投資機会」というセミナーにおいて、モザンビークの農業大臣が、マット・グロッソの生産者に対して積極的に投資を求め、無償で土地を提供すると話していたようである。[4]
更に在ブラジルモザンビーク大使館のWEBサイトには、この11月にブラジルからアフリカ諸国への投資ミッションが派遣され、アンゴラ、南アフリカ、モザンビークを訪問することが記載されている。このミッションの主要分野の一つには、農業関連企業の国際化も含まれている。[5]
またAgência de Notícias Brasil-Árabe (ANBA) の記事によると、パラグアイなど南米周辺国に向けて投資を進めてきたブラジルの農業生産者は、南米での土地入手が難しくなり、現在アフリカに目を向けているとのことである。既にAçúcar Guarani社はモザンビークに進出し、エタノール向けサトウキビを生産し、スーダンに進出しているGrupo Pinessoもモザンビークへの進出を検討しているという。[6]
このようなブラジルからアフリカへの移民、投資の動きは数年前から非常に活発なようであり、「ブラジルはアフリカでのプレゼンスを増し、土地を購入している-このようなブラジルのアグリビジネス関連企業のアンゴラやモザンビーク、モ-リタニア、スーダンなどへの移動はこれまで見たことがないものである」という記事も見られる。[7]
このような記事からわかることは、既にブラジルからアフリカに向けての農業投資の動きは活発であること、そうした中で、日本政府はブラジルからモザンビークへの農業投資促進に向けて協力しているのである。また円借款での道路建設も既に調印済みである。
JICAの報告書、「モザンビーク国日伯モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査 最終報告書」(2010.3 JICA)を改めて見直すと600万ヘクタールの土地が狙われている理由が明らかになる。
報告書の8.1の結論部分に次のように記載されている。<ブラジル側(Embrapa)は、本プログラムの対象地域を・・・「中小規模農家増収支援」に加え「商業規模(commercial scale)の農業生産投資をも可能にすべく、上記2)の対象地域(640万ha)を含めることが重要であると考えている.この新たな提案は、その後モザンビーク国農業省からも支持された。」
プロジェクトの中には、「ナカラ回廊周辺地域総合農業開発計画」を策定するというのも含まれているが、その計画策定前に、「セラードに類似し、機械化農業に適した地域」として640万ヘクタールが組み込まれたのである。こうしてこのプロジェクトは、民間投資によるモザンビークにおける大規模な機械化農業振興のためのプロジェクトとなった。このプロジェクト主催のシンポジウムで農業大臣が600万ヘクタールに言及したのは理由があるのだ。
日本側がどのように考えようと、ブラジルとモザンビークでは大規模な機械化農業による市場向け生産を目指しているのである。そしてこのプロジェクトの計画の枠内では、この動きに対して歯止めをかける仕組みはなく、「村落開発のモデル」を作っているうちに、村落が消え去る危険性すらある。
開発と権利のための行動センター
青西靖夫
[1]モザンビークにおけるJICAプロジェクト関連情報はこのサイト
http://landgrab-japan.blogspot.com/2011/09/blog-post.html
報告書へのリンクもこのサイトに入れてある。
[2] Moçambique oferece área de três Sergipes à soja brasileira(2011.8.14)
http://www1.folha.uol.com.br/mercado/959518-mocambique-oferece-area-de-tres-sergipes-a-soja-brasileira.shtml
José Pacheco diz que a concessão de 6 milhões de hectares a brasileiros é uma má interpretação(2011.9.9)
http://www.canalmoz.co.mz/hoje/20264-jose-pacheco-diz-que-a-concessao-de-6-milhoes-de-hectares-a-brasileiros-e-uma-ma-interpretacao.html
[3] Pacheco diz que não foi ao Brasil negociar terras
http://opais.sapo.mz/index.php/politica/63-politica/16451-pacheco-diz-que-nao-foi-ao-brasil-negociar-terras.html
及び[2]の2つめの記事
[4]Ministro José Pacheco convida produtores brasileiros a investir na produção de algodão em Moçambique (在ブラジルモザンビーク大使館のWEBサイトに転載されている記事)
http://www.mozambique.org.br/index.php?option=com_content&task=view&id=564&Itemid=9
[5]Missão Empresarial do Brasil para Angola, Moçambique e África do Sul
http://www.mozambique.org.br/index.php?option=com_content&task=view&id=586&Itemid=9
[6]Lavoura estrangeira(2011.9.15)
http://www.anba.com.br/noticia_especiais.kmf?cod=12406689
[7] Brasil amplía presencia en Africa y compra terrenos para cultivos(20106/29)
http://diario.latercera.com/2010/06/29/01/contenido/8_31094_9.shtml
Brasil invade África con sus productos(2010.6.23)
http://www.abeceb.com.ar/noticia/135175/brasil-invade-africa-con-sus-productos.html
2011年4月6日水曜日
アルゼンチンのニデラ社との包括提携に関連して、豊田通商に送付した質問状に対する回答
アルゼンチンのニデラ社との包括提携に関連して、豊田通商に送付した質問状に対する回答を3月31日付けで受け取った。
内容は次のようなものである。
また関係省庁からの回答はいまだ受け取っていない。
・弊社(豊田通商)とニデラ社の提携は、アルゼンチン産およびブラジル産穀物・油糧種子について協力して販売促進していくこと、および、輸出施設や保管施設への出資や買収を検討の上、実施することであり、アルゼンチンでの栽培農地への投資・運営の実績や栽培農地に係る契約関係(土地取引含む)はございません。
・本件に関し、ニデラ社は公式ホームページ上で下記の声明を発表して、否定しており、弊社もニデラ社より同様の報告を受けております。
「アルゼンチン税務当局に登録済みの労働者を雇用しており、全てアルゼンチンの規則に則っている」
また、アルゼンチン種子協会も同様に否定しております。
・現在、アルゼンチン当局が調査中であり、調査結果が公表されていない段階と理解しております。従い、弊社としては。現状は事態を静観している状況であります。
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上記のような回答であるが、次のような問題点がある。
1)日本政府が定めた「食料安全保障のための海外投資促進に関する指針」は、海外農業投資を「我が国からの海外農業投資(生産、集荷、輸送、輸出等を含む海外農業関連投資をいう。)」と定義しており、その上で被投資国における法令遵守(指針3)を定めているのであり、今回の豊田通商の回答は、上記指針に沿ったものとはなっていない。
食料安全保障のための海外投資促進に関する指針
http://www.mofa.go.jp/ICSFiles/afieldfile/2009/08/20/G0858_J.pdf
2)この件について、豊田通商のWEBサイトにも、外務省、農林水産省のWEBサイトにも一言も掲載されておらず、海外農業投資原則が定めた「透明性」は全く保障されていない。
3)企業として、社会的責任を果たすために、労働者の雇用条件改善に貢献しようという方向性は全く見えない。
4)アルゼンチンでは労働省と農業者連盟が、農村労働者の労働条件改善と監視強化を実現するために、合同委員会を設置することに合意。[1]
一方、連邦歳入局(AFIP)がニデラ社を始め、カーギル社、バンジ社の支社など117カ所を立ち入り調査を行ったことが3月1日に報道されている。14ヶ月間に1億5千万ペソ(約30億円)を脱税した疑いがもたれている。 [2]
既にニデラ社は連邦債入局により、脱税の疑いから、2月10日に登録穀物取り扱い業者としての資格を停止されている。[3]
ここまでこのブログで取り上げてきた事例において、この「指針」が適切に運用されて、十分に情報公開がなされ、現地状況が分析され、適切な対応が取られているケースは存在していない。
青西靖夫
[1]Contra el esclavismo
http://www.pagina12.com.ar/diario/economia/2-164797-2011-03-24.html
[2]La Afip allanó 48 cerealeras denunciadas por evadir 150 millones de pesos
http://www.pagina12.com.ar/diario/ultimas/20-163287-2011-03-01.html
[3]La AFIP suspendió a Nidera del registro de operadores de granos http://www.am1380.com.ar/index.php?option=com_content&view=article&id=91:la-afip-suspendio-a-nidera-del-registro-de-operadores-de-granos&catid=12:economia&Itemid=14
Suspensión para Nidera
http://www.pagina12.com.ar/diario/elpais/1-162185-2011-02-11.html
3月3日付で送付した質問書
質問書
先般、アルゼンチンにおいて、ニデラ社の農園における農園労働者の搾取、労働関係法及び徴税関連法への違反が、アルゼンチン政府当局によって摘発されたとの報道がなされております。[1]
またこのアルゼンチンのニデラ社につきましては、昨年11月に貴社が包括提携を結んだとのニュースリリースも読ませて頂いております。[2]
一方、日本国政府は2009年(平成21年)8月20日に外務省及び農林水産省の共催によって第5回「食料安全保障のための海外投資促進に関する会議」を開催し、「食料安全保障のための海外投資促進に関する指針」を取りまとめております。
この中で、日本国の海外農業投資においては、「被投資国における農業の持続的可能性を確保」することが重要であることを認め、政府及び関係機関は、「本指針に基づいて海外農業投資の促進策を講ずるに当たり、以下の行動原則との整合性を確認する」ことを定めております。[3]
今回のニデラ社に関する報道はこの「指針」の③と④に抵触しているものと考えられます。
ニデラ社はこの報道について否定をしておりますが、アルゼンチン政府による摘発であり、十分な根拠があるものと当方では考えております。また企業活動を行っていく上で、法令遵守、人権の尊重は極めて重要な事柄であると考えております。
社会的な存在である企業として「企業の社会的責任」のあり方、また「グロ-バル・コンパクト」に対する取り組み姿勢にも強く関連するものであります。
つきましては豊田通商株式会社としての、これまでの現状の把握及び今後の対応についてお聞かせ頂きたくお願い申し上げます。
青西靖夫(開発と権利のための行動センター 代表)
大野和興(日刊ベリタ編集長)
近藤康男
松平尚也(アジア農民交流センター)
[1]「農地は誰のものか」ブログ記事より
http://landgrab-japan.blogspot.com/2011/02/blog-post_12.html
アルゼンチンでの農園労働者搾取と日本商社
日本の豊田通商と昨年11月に包括提携を結んだアルゼンチンの穀物商社ニデラの農場において、未成年、児童を含めた農村労働者を劣悪な条件で働かせていたとして、アルゼンチン当局が強制捜査を行い、労働者を解放、現在告発に向けて調査を続けている。
(以下別添)
[2] 南米に強みを持つ穀物メジャーと包括提携を締結
~ 食料資源確保のため供給ソースの多角化へ ~
http://www.toyota-tsusho.com/press/2010/11/20101119-3580.html
[3] 食料安全保障のための海外投資促進に関する指針 より一部抜粋
http://www.mofa.go.jp/ICSFiles/afieldfile/2009/08/20/G0858_J.pdf
4 我が国の行動原則及びこれに関する国際的取組等
(1)行動原則
海外農業投資は、被投資国における農業の持続可能性を確保しつつ、投資側・被投資側の双方が裨益する形で実施することが重要である。この観点から、政府及び関係機関は、本指針に基づいて海外農業投資の促進策を講ずるに当たり、以下の行動原則との整合性を確認する。同時に、被投資国側にも投資環境の整備(収用の原則禁止や輸出規制の抑制等)や投資関連情報の提供などを求めていく。
① 被投資国の農業の持続可能性の確保
(例:投資側は、被投資国において、持続可能な農業生産を行う。)
② 透明性の確保
(例:投資側は、投資内容について、契約締結時等において、プレスリリース等により、開示する。)
③ 被投資国における法令の遵守
(例:投資側は、土地取引、契約等被投資国における投資活動において、被投資国の法令を遵守する。)
④ 被投資国の農業者や地域住民への適正な配慮
(例:(イ)投資側は、投資対象の農地の農民及び所有者に対し、その農地の取得及びリースに関し、適切な対価を提供する。(ロ)投資側は、現地における雇用について、適切な労働条件の下、農民等従業員の雇用を行う。)
⑤ 被投資国の環境への適切な配慮
(例:投資側は、投資に当たって、土壌荒廃、水源の枯渇等、被投資国の環境に著しい悪影響を与えてはならない。)
⑥ 被投資国における食料事情への配慮
(例:(イ)投資側は、被投資国における食料事情に悪影響を与えないように配慮する。(ロ)投資側は、被投資国の主食作物を栽培している農地を他の作物に転換することにより主食作物の生産量を著しく減少させるような投資は行ってはならない。)
2011年3月9日水曜日
日本企業のバイオ燃料生産に抗議の声-サン・マリアノ町の農民および先住民族 大規模な土地収奪に強く反対
FoEJapanのサイトに掲載されている情報の転載です。次のサイトよりアクセスできます。
http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/activity.html
フィリピン農民運動(KMP)
イサベラ州農民組織(DAGAMI)
フィリピン農村伝道組織(RMP)
プレスリリース
2011 年2 月23 日
サン・マリアノ町の農民および先住民族
大規模な土地収奪に強く反対
2011 年2 月20~23 日の4 日間にわたり、イサベラ州農民組織(DAGAMI)およびフィリピン農民運動(KMP)は、フィリピン農村伝道組織(RMP)の協力の下、マニラからの現地調査団の派遣を行なった。イサベラ州サン・マリアノ町の13 の村から、少なくとも400 人の農民および先住民族が、(同町の)デル・ピラー村で行なわれた活動に参加した。派遣調査は、特に、バイオエタノール事業の実施地域に含まれているコミュニティーの農民の現状と要求を知ること、また、様々なセクターからの支援(があること)を(地元の農民に)示すことを目的として行なわれた。
日本の大企業2 社、すなわち、伊藤忠および日揮が、台湾企業GCO およびフィリピン企業とパートナーを組み、先ごろ設立した合弁会社Green Future Innovations, INC.(GFII)は、サトウキビを原料としたエタノールの生産・売却を行なうことになっている。サトウキビの苗木場やプランテーションを準備するため、GFII とパートナーを組む会社Ecofuel Land Development, Inc.(ELDI)も別途設立された。サン・マリアノ町長エドガー・ゴー氏によれば、バイオエタノール精製工場は2012 年3月までに操業を開始するということだ。
今回の現地調査により、バイオエタノール事業のためのサトウキビ・プランテーションの対象にもなっている地域で、現在、大規模な土地収奪が広く見られることがわかった。農民および先住民族の聞き取りや情報共有に基づけば、変則的な土地権利書の発行や、農民の土地に対するフィリピン・ランドバンク(LBP)による「抵当物受け戻し権喪失手続」、また、(包括的農地改革プログラムに基づく)「土地所有裁定証書(CLOA)」の取り消しなど、近年、様々な形態(の土地収奪)が、より積極的かつ広範囲で行なわれている。また、米、コーン、野菜、果樹等からサトウキビへの作物転換のケースも起きている。現地調査ではまた、特に、(バイオエタノール)事業への反対が強くなってきている地域において、軍隊の駐留が増えていることも認められた。
KMP 事務局長ダニロ・ラモスは、「農民および先住民族が何十年にもわたり、彼らの土地を耕してきたことを調査団は確認した。しかし、ある個々人らが最近になって現れ、彼らの土地の所有権を主張している。パンニナン村では、農民に分配されたCLOA に対し、LBP による『抵当物受け戻し権喪失手続』が今にも開始されようとしているケースが、60 件近くある。(サトウキビ・プランテーションの)農業労働者らは、食費手当て等もなく、一日12 ペソ(訳者注:約24 円)から57 ペソ(訳者注:約114 円)くらいの賃金しか受け取っておらず、さらに悪いことには、何週間も賃金の支払いが遅れていることを彼ら自身の口から明らかにした。」と述べた。
DAGAMI サン・マリアノ町支部の代表ジョニー・ヤダオによれば、こうした問題に意見を述べてきたDAGAMI のメンバーらはまた、Pantawid Pamilyang Pilipino Program (4Ps)(訳者注:フィリピン社会福祉開発省による貧困削減プログラム)の下で行なわれている「条件付の補助金譲渡(CCT)」の受領予定者リストから名前を削除すると脅されている、ということだ。
地元の自治体によれば、サトウキビ・プランテーションとして使われるのは、食料用の作物が植えられていない未利用地のみということだ。しかし、調査団の現地訪問、また、地元住民の証言から、(サトウキビ・プランテーションになる)これらの土地が耕作地であり、以前、米やコーン、バナナといった作物が植えられていたところであることが明らかになった。
農民および先住民族はまた、バイオエタノール事業の事業者らが申し出たバラ色の約束の一つが、原料であるサトウキビ生産のために土地を使わせてくれるならば、年20,000 ペソ(訳者注:約40,000 円)の土地賃貸料金を受け取れるというものだったことを明らかにした。しかし、実際には、その賃貸料金は現在、年にわずか5,000 ペソ(訳者注:約10,000 円)にまで引き下げられており、彼ら家族の基本的なニーズを満たすには十分でない。このように、彼らの経済的な困窮は食い物にされている。
こうした状況は、イサベラ州サン・マリアノ町の農民および先住民族の困窮を悪化させている。したがって、影響を受ける/受けている農民および先住民族の要求、また、現地調査団の提言を以下に示す。
. 何十年にもわたり耕作してきた土地の所有権を認めること
. 農民および先住民族が収奪されてしまった土地について、彼らが所有し、平穏な耕作ができる状態に戻すこと
. 農業改革省(DAR)、環境天然資源省(DENR)、土地登記局、LBP が、農民および先住民族の移転につながる変則的な土地権利書の発行に関与していることが報告されているケースについて、調査を実施すること
. 「抵当物受け戻し権喪失手続」を中止すること。また、変則的な土地権利書の発行を進めている首謀者や関与している者の調査をし、起訴すること
. 詐欺行為などを通じて取得された土地権利書を取り消し、早急に(土地の)復権手続きを行なうこと
. 農民や先住民族による農業の生産性を確保するため、フィリピン政府機関および地方自治体が農業支援/補助を十分に供与すること
. 伝統的な品種を利用した固有かつ持続可能な営農活動の発展と促進を支援すること
. (サトウキビ・プランテーションにおける)農業労働者を含む農業労働者の生活給が供与されるよう、(州や町の自治体が)条例を作ること
. (バイオエタノール)事業によって影響を受けるコミュニティーにおいて、公聴会/住民協議の実施、また、情報公開を確保すること
(以上)
翻訳:波多江/FoE Japan
英文はこちらのサイトにあります。
http://kilusangmagbubukid.digitalresourcesbureau.org/files/FFM_Mission_Statement_0.pdf
またDAGAMIの要請書は次のように訴えている。(次のサイトより抜粋)http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/pdf/2010petition.pdf
「しかし、エタノール事業がもたらすのは発展ではない、と私たち農民は信じる。むしろ、私たちの土地を奪い、私たち農民の貧困と飢えを悪化させるだけである。」
「情報によれば、未利用地のみがサトウキビ農園になるという。しかし、実際に起きていることは違っている。伝統的な農法を営んできた農地(Kaingin)やこれまで使ってきた田んぼが、エタノール(事業の)契約に入っている。実際は、「未利用の」土地といっても、土地権利書を持っていない、あるいは、農業のための元金が不足しており借金をするしかない、あるいは、政府からの支援が不足しているといった理由で、誤って未利用とみなされている。こうした土地は他にもある。家畜のための牧草地や、家屋を作るために利用する原材料、集水域等である。」
「 リース契約(土地を利用させる契約)にある9 つの条項の大半は、私たち農民には重く、また、不利なものだ。」
「市民の食料の代わりに、エタノール製造のため、広大な土地の利用転換がなされれば、食料不足や日用品の価格高騰の経験を悪化させるだろう。現在、サン・マリアノ町の農家75~80%が一日三食できない状態にあり、国内外の企業が巨大なサトウキビ事業を進める間、農民は飢えで死んでしまうだろう。市民に必要なのは、食料であり、エタノールではない。」
「サトウキビ、コーン、キャッサバ、ヤトロファというローカル作物からのバイオ燃料/エタノールの精製は、科学技術の進歩の一部で、日本等の先進国のみが利益を得る。そうした国の望みは、彼らの産業のために安い原料を作り、供給し、彼らの高い生成物を売る市場として、私たちを縛り付けて維持することだ。したがって、発展の代わりに、「エタノール事業」の実施は、サン・マリアノ町の農民と市民にとって、広大な土地の収奪を意味する。ここで確実に利益を得るのは、GFII、Echofuel Land Development 社、そして、サン・マリアノ町の有力者である。
「イサベラ州農民組織サン・マリアノ町支部(DAGAMI-San Mariano)のリーダーシップにより、私たち農民は、サン・マリアノ町の農民の民主主義という大志と利益を代表して、反農民かつ反市民のエタノール事業に対する反対の意を表明する。私たちのこの表明の証拠が、以下の仲間の署名である。ここに署名した仲間は、農民の合法的、かつ、公正な要請のために一致団結した市民である。」
2010年12月30日木曜日
2010 日本の海外農業投資
1) 双日株式会社
双日、アルゼンチンで大豆など農業事業を開始(2010/11/17)
~農業経営ノウハウを蓄積し、ブラジルなどへ拡大。食料資源の安定供給に貢献~
http://www.sojitz.com/jp/news/releases/20101117.html
アルゼンチン共和国/農業事業会社設立に対する海外投資保険について
http://www.nexi.go.jp/topics-p/index_frame_direct6.html
2) 豊田通商
南米に強みを持つ穀物メジャーと包括提携を締結(2010/11/19)
~ 食料資源確保のため供給ソースの多角化へ ~
http://www.toyota-tsusho.com/press/2010/11/20101119-3580.html
3)伊藤忠商事(2010/04/08)
フィリピンにおけるバイオエタノール製造・発電事業について
http://www.itochu.co.jp/ja/news/2010/100408.html
2010年9月18日土曜日
「責任ある農業投資への原則」の限界
この原則は、昨年から日本政府が世界銀行や国連食糧農業機関(FAO)などと制定に向けて取り組んできたものである。[2]
その数日後、世界銀行は、「世界規模で広がる農地への関心-持続可能で公平な利益を生み出すことができるか」という報告書を公表した。[3]
この報告書は食料危機とその後に続く金融危機で、農業分野への投資が再発見され、開発途上国における農地獲得の動きが拡大していることに対して、開発のた
めの機会となるのか、不公正を存続させ、資源の劣化、そして紛争を引き起こすだけに終わるのか、この両者を検証し、リスクを減らすための助言を行うには情
報が不足しており、その情報ギャップを乗り越え、議論のために重要な情報を提供することを目指しているとしている。(実際にはこの報告書は、農地獲得を含
め開発途上国に対する民間からの農業投資は貧困削減と開発のために重要であるというポジションに立って、その上で何をしていくべきかという視点から書かれ
たものとなっている。)
しかしながらこの報告書で明らかにされたことは、問題を把握し、検討するための十分な情報は存在していない
し、存在していたとしても開示されていないということである。世界銀行は、国際NGOであるGrainが中心となって農地取得問題に関する報道等を整理し
ているFarmlandgrabのデータベースに情報を整理し、その上で14カ国をのみを対象に、政府からのデータ収集を試みている。しかしながらほとん
どの国で世界銀行ですら的確に情報を収集することは出来ていないのである。情報自体の欠如、データベースの未整備、開示への拒否まで。つまり、この報告書
は当初の目的を達成することはできなかったのである。
その中でも明らかにされたことは、脆弱な土地管理、コミュニティの土地権利の承認、保護の
失敗、大規模な投資を管理する能力の欠如、投資側の不適切な計画、投資を適切に位置づける開発戦略の欠如などによって、大規模農業投資は成果を上げること
が出来ていない一方で、「地方の人々はしばしば資源を失う一方で、ほとんど利益を享受していない」ということである。(P. xv)
こ
うした状況を前に、世界銀行は「情報へのアクセスを増大させ、規制を執行させるための方策を整え、政策や規制に関する開かれた議論を可能にすることが不可
欠である」としている。[4]
つまり、現時点で開発途上国における大規模な土地取得や農業投資から持続的で公平な利益を生み出す基盤が存在していないことが報告書で明らかにされている
と理解すべきである。Grainが指摘するように、「投資家は脆弱な政府や地方のコミュニティの法的な保護の欠如をいいことに、人々を土地から排除してい
る」というのが大規模な農地取得の現実でなのである。[5]
現時点では、政府には農業投資を適切に開発政策に位置づけ、農地取得を管理するキャパシティは存在せず、農民や先住民族の既得の土地や資源に関する権利も
把握すらされておらず、また情報が適切に開示されていない以上、事前の情報に基づく協議が実施できるわけはなく、契約実施のモニタリングも監査もできな
い、これが現実なのである。
それにも関わらず、日本政府が世界銀行などと共に進めていこうとしているのが、下記に記す「責任ある農業投
資への原則」である。「責任ある農業投資」を実現し、かつその履行を保証、監視していく基盤がないことが明らかになっているにもかかわらず「自発的な」行
動原則を定めようというのである。
原則を推進する日本政府は、自国企業に対して土地取得プロセス、協議プロセスから環境影響評価まですべての関
連情報の開示を求めることができるのだろうか?日本企業はすべての情報を自発的に開示するのだろうか?日本政府は「責任ある農業投資」が実現可能なまでに
国内法制・行政制度が整っている国をリストアップできるのであろうか?日本政府はAPEC加盟国に同じことを要請できるだろうか?
自発的に、原則の履行に積極的に踏み込んで前例を作る意思がなければ、自発的な行動原則など意味を持つことはないであろう。
とりあえず必要なことはいつになったら実現されるかわからない「責任ある農業投資」の実現を待つのではなく、大規模に広がる「無責任な農業投資」、資源の略奪、土地の略奪を防ぐことである。
[1]途上国の「土地争奪」防ぐルール案 APEC向け調整
http://www.asahi.com/international/update/0905/TKY201009050275.html
[2]「責任ある国際農業投資」ガイドラインは是か非か
http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2010/04/post-1c76.html
[3]Rising Global Interest in Farmland
http://siteresources.worldbank.org/INTARD/Resources/ESW_Sept7_final_final.pdf
[4]Joint Notes Rising Global Interest in Farmland and the Importance of Responsible Agricultural Investment
http://siteresources.worldbank.org/INTARD/Resources/Joint_Issues_Note_54_v6.pdf
[5]World Bank report on land grabbing: beyond the smoke and mirrors
http://www.grain.org/articles/?id=70
その他参考サイト
Food crisis and the global land grab
http://farmlandgrab.org/
農業情報研究所
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/
開発と権利のための行動センター
青西靖夫