2013年1月29日火曜日

モザンビークにおける国際協力事業が引き起こす土地争奪~

財団法人 地球・人間環境フォーラム  「グローバルネット」 265号(2012.12)に掲載した記事に加筆修正したものです。またその後に補足記事を掲載しています。

ランドラッシュに巻き込まれる農村社会 ~モザンビークにおける国際協力事業が引き起こす土地争奪~

開発と権利のための行動センター  青西靖夫(あおにし やすお) 

 2012年10月11日、モザンビークの農民組織である「全国農民連盟(UNAC)」は、ブラジル-モザンビーク-日本の三角協力という形で実施されつつある「プロサバンナ・プロジェクト」について声明を発表。この事業に関する情報の不足、立案プロセスにおける透明性の欠如、農民組織の排除などを大きな問題であると訴えるとともに、この事業が実施された場合には、土地収用や移転によって土地なし農民が産み出されるとともに、社会的動乱の頻発、生計維持手段の減少による農村の貧困化などの問題が生じるであろうと告発した。[1]

 本プロジェクトは、20年以上にわたるブラジルのセラード開発の経験をモザンビークの開発にいかそうと日本政府が積極的に進めるもので、 2009年7月のラクイラ・サミットで当時の麻生総理とブラジルのルーラ大統領の間で合意したことに始まる。これまでに「モザンビーク国日伯モザンビーク三角協力による熱帯サバンナ農業開発協力プログラム準備調査」[2](2009年9月~~2010年3月)、「ナカラ回廊農業開発研究・技術移転能力向上プロジェクト」[3](2011年~)、「ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定支援プロジェクト」[4](2012年~)などを実施してきている。

 ここでは農民組織の声明を踏まえつつ、このプロジェクトについて詳細に検討してみたい。

■プロジェクトのさまざまな問題点

①透明性の欠如

 このプロジェクトの不透明性は単に農民に情報が発信されないことに起因するだけではなく、プロジェクトの立案・実施プロセスに不透明な部分が内在されていることによると考えられる。

準備調査報告書[2]によると、「『準備調査』は、国道13 号線沿いに、ナンプーラ州並びにニアサ州およびザンベジア州の一部を調査対象地域とした」とされている。しかしながら、この調査に参加したブラジルの農業研究機関であるEMBRAPAは、「商業規模(commercial scale)の農業生産投資をも可能にすべく」、調査の最終段階で調査対象地域外のナカラ回廊の北西部の640万ヘクタールの土地をプロジェクト対象地に組み込んだのである。([2]の6章及び付属資料を参照のこと)

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(緑が当初の調査地域、右の地図のオレンジがJICAのプロジェクト実施に伴って追加されたことが把握される地域。黄色で囲んだ地域は追加されたと思われるが、現状での位置づけが把握できない。)

 現在のモザンビーク全体の耕作面積よりも大きく、日本の農地面積より広大な土地を、誰がどのように利用しているのかも把握もしないままに、「機械化農業に適している」と記載された外交文書に国際協力機構(JICA)は調印したのである!

 このように、このプロジェクトにはブラジル政府の意向が大きな意味を持っており、日本政府やJICAの意図を超えて動く可能性を秘めていることを理解しておく必要がある。それだからこそ、モザンビーク農民だけではなく、私たち日本国民も、納税者としてこのプロジェクトに対する監視を怠ってはならないのである。

 それ以降、事前調査では含まれていなかった、北西部に位置するンガウマとリシンガがプロジェクト対象地域に含まれ、「技術移転プロジェクト」ではナンプラの試験場だけではなく700kmも離れた(東京-青森間に相当する!)リシンガの試験場も対象に加えられた。これがどのようなプロセスで追加されたのも定かではないが、果たして現実的にマネージできるのかという疑問も生じる。

② 情報の不足

 農民側の情報不足はこのプロジェクトがそもそも農業開発の主体となるべき地域在住の農民ではなく、海外の投資家の方を向いていることから起きていると考えられる。それは国際協力機構(JICA)による「マスタープラン策定支援」に関するコンサルタント会社向けの業務指示書[5]を検討することで明らかとなる。

 現地の農民組織が情報の不足を訴える一方で、JICAはコンサルタント会社に次のように求めているのである。

「本業務の実施に当たっては『モ(モザンビーク)』国及び周辺諸国への投資に関心を持つ我が国民間企業と十分な意見交換を行い、その意向を各種計画策定に反映させる」、「Quick Impact Projectの形成に際してはナカラ回廊地域の農業開発に関心を示す本邦企業から事前にニーズを聴取し、結果を反映させること」

 農業開発計画の策定にあたって重要なのは地域の農民たちの声ではなく、投資に関心を持つ日本企業の声なのである。業務指示書のどこにも、農民の声を十分に反映させるようにという記述はない。農家の経済状況や土地利用などは既存データを収集して済ませ、農民組織の調査は現地で再委託、現地でのステークホルダー会議は関係機関、ドナー、民間セクターやNGOを含め50人程度集めればいいという指示であり、農民の声を聞こうという意欲はどこにも感じられない。

③農地収奪は起こるのか?

 現地の農民組織は「プロサバンナは数百万ヘクタールの土地を求めているが、実際にはこれらの土地は移動耕作を行う農民によって利用されており、利用できる土地はない」と述べている。準備調査報告書も「当初のプロジェクト予定地域には大規模農業を展開する農地はない」と記載している。しかし上述したように、「商業規模の農業生産投資をも可能にすべく」、調査地域外であった640万haヘクタールがプロジェクトの対象地域に加えられた。これは明らかに農地収奪への第一歩である。

 また2011年にはモザンビークの農業大臣はブラジルの投資家に対して、「北部4州において、600万ヘクタールの土地を、ヘクタールあたり9ユーロで50年にわたるコンセッションで提供できる」と伝えたと言われ、ブラジルの投資家も歓迎の意向を示していた。[6] 2012年4月の日本・ブラジルの官民合同ミッションにおいても、日本の商社マンはブラジル側の投資意欲に圧倒されたという。アフリカのビア・カンペシーナ(農民組織)は「このプロジェクトはアフリカでも最も大きく野心的な農地収奪であろう」と批判しているが、農地収奪は日本側のコントロールできないスピードで展開する危険性がある。

④「無責任な農業投資」と私たち

 現地農民組織は土地なし農民の発生や生計維持手段の減少による農村の貧困化などの可能性を指摘している。日本政府は海外農業投資に伴ってこのようなことが起きないようにと「責任ある農業投資(RAI)」原則の確立を進めてきたはずであった。しかし今回のプロジェクトの中でRAI原則を実現するための方策が検討されているとは言いがたい。土地への権利、食料安全保障の確立、透明性の確保、協議と参加、これらの権利を農民に保証しようという配慮を読み取ることはできない。その一方で業務指示書では「住民移転計画の作成」すら求めているのである。本来、先にやるべきことは上記のような権利を保証するための方策を検討することであろう。

 このプロサバンナ・プロジェクトは日本国民への「食糧安全保障」という名目で正当化されている。日本の商社は生産にも土地取引にも直接関与せずに流通面での支配をもくろんでいると思われる。

 しかし日本国民が本当にこのようなプロジェクトを求めているのであろうか。内戦から解放されたモザンビークの「開発」のために、農民を土地から排除することを誰が願っているだろうか。

財団法人 地球・人間環境フォーラム グローバルネット 265号(2012.12)に掲載した記事に加筆修正したものです。

補足記事  2013年1月29日

慣習法的農地保有を保護するために

日本政府が積極的に進める「責任ある農業投資原則(RAI)」は次のような5原則からなる

  1. 土地及び資源に関する権利の尊重:既存の土地及び付随する天然資源に関する権利は認識・尊重されるべき。
  2. 食料安全保障の確保:投資は食料安全保障を脅かすのではなく、強化するものであるべき。
  3. 透明性、グッド・ガバナンス及び投資を促進する環境の確保:農業投資の実施過程は、適切なビジネス・法律・規制の枠組みの中で、透明で、監視され、説明責任が確保されたものであるべき。
  4. 協議と参加: 投資によって物理的に影響を被る人々とは協議を行い、合意事項は記録し実行されるべき。
  5. 責任ある農業企業投資:投資事業は法律を尊重し、業界のベスト・プラクティスを反映し、経済的に実行可能で、永続的な共通の価値をもたらすものであるべき。
  6. 社会的持続可能性:投資は望ましい社会的・分配的な影響を生むべきであり、脆弱性を増すものであってはならない。
  7. 環境持続可能性:環境面の影響は計量化され、リスクや負の影響の最小化・緩和を図り、持続可能な資源利用を促進する方策が採られるべき。

 またローマで2012年に開催された第38回世界食料安全保障委員会(CFS)において、「国の食料安全保障における土地・漁業・森林の保有の権利に関する責任あるガバナンスについての任意自発的指針」が承認された。この指針は、土地、森林、漁業において所有あるいはアクセスできる権利を各国政府が保護するためのものである。この中で「非公式のシステムにおけるものであっても、正当な保有権を公認し保護すること」定められている。[7]

 プロサバンナプロジェクトは、RAIのモデルとして位置づけられているが、当然のことながら、FAOの指針にも沿うものであることが求められている。

 しかしモザンビークは慣習法的な土地利用が広範に広がっており、慣習法的な土地所有の上で、プロジェクトを展開していくには多々困難が待ち受けているものと思われる「民間投資を受け入れてプロジェクトを実施」という前に、「慣習法的な土地保有」をいかに承認し、保護していくかというのは非常に難しいテーマである。

 以前JICAに送付した質問書への回答で「国有地である」といった安易な回答があったが、そういうことでは対処できないのである。[8 ]

 ところが2001年に刊行された南部アフリカ援助研究会の報告書には、懸念される点が適切に指摘されているのである。(モザンビーク 本編P40- [9 ] )

 以下一部抜粋

2-2 農地政策

約8,000 万 ha の国土のうち、1,800 万 ha ほどが農耕に適している土地である。---土地に限ってはいまだに国有のままである。しかし土地の保有権は認められており、農村では伝統的首長が慣習的秩序に従って土地を配分することが一般的である。---従って、農地保有権(land title)の確保・安定化が当面の課題となる。1987 年に小農民保護を目的とする新しい条項が土地法に追加され、伝統的に耕作していた土地に対する小農民の権利を自動的に認めることになって、小農民は土地保有権証書を取得する権利が与えられた。しかし、その実績は上がっていない。---、土地の保有権申請の登録システムがきわめて貧弱であることを認めている

 この場合の論点は3 つあるだろう。共有地の配分という慣行への親しみ、申請書類の事務処理能力、非識字者や社会的弱者に対する権利侵害の3つである。第1 の共有地の配分についてはすでに述べたが、この慣行は個人分割を前提とする土地保有権になじまない。また技術的にも、境界の確定や個人への割付が利害と関連して大変難しい。あるいは、農地、放牧地、薪炭林用地などの区分も問題となりうる。第1の問題をクリアーして申請書類を提出したとしても、迅速かつ適切に処理される保証はない。そこで、1997 年の土地法に基づく農村向けの規制が1998 年12 月に承認され、その適切な実行と強化が優先度の高い政策に位置付けられることとなった。---

最大の課題は3 番目の問題である。いくら、土地法が小農民の土地アクセスに対する伝統的権利を認定すると言っても、彼ら/彼女らが必ずしもその存在を知っているとは限らないし、知っていても申請手続きを進める術を持つとは限らない。また、土地法が伝統的権威の介入を認めているので、女性などの社会的弱者が不利に扱われる危険性もないわけではない。さらに、民間資本などによる土地購入が、従前の耕作者である小農民を追い出しているケースも散見される。そこで、少なくとも農地保有権確保のための識字教育やその仕組みの広報キャンペーンが、早急に実践されるべきである

2-6-3 土地改革に関する事務処理の迅速化支援と農民「啓発」

1997 年土地法による土地保有権の法的保障は小農民の存続基盤としてたいへん重要であるが、その存在すら知らない農村住民たちが圧倒的に多いと推測される。いったん土地保有権が確定されてしまうと、その変更には多大な努力を要する。そこで、農村住民に対する情報提供・啓発・識字教育は緊急度の高い優先事業に位置づけるべきである。同時に、州レベルの事務処理の迅速化を図る支援手段を考慮する必要があろう。

 大変重要な指摘である。今回のようなプロジェクトを行うに当たって、RAIの観点からもFAOの指針の観点からも、上の指摘について十分配慮する必要がある。指摘されているような点について現状が把握され、そこへの対策が組み込まれることない「農村開発プロジェクト」は存在しないと考えるべきであろう。

 そこでまず下記のような点についての精査を求めるべきと提起する。

1)現状として土地保有権の認定状況はどうなっているのか。

2)慣習法的土地保有と個人的所有はどのように調整されているのか。

3)手続きへのアクセスはどうなっているか。

4)女性の土地へのアクセスは保証されているか。

5)更に土地紛争が生じた時の解決手段はどのように整備され、またアクセス可能か。

開発と権利のための行動センター

青西靖夫

フィリピンにおけるバイオエタノール事業の問題-工場の操業再開後も山積する問題~土地問題の長期化と公害問題の再発~FoE

 

伊藤忠商事、日揮が進めるフィリピンのバイオエタノール事業に関し、FoE Japanのサイトに新しい報告がアップされました。

http://www.FoEJapan.org/aid/land/isabela/2013Jan.html
(現場の写真は上記サイトでご覧ください。)

フィリピン・イサベラ州バイオエタノール事業
工場の操業再開後も山積する問題~土地問題の長期化と公害問題の再発~

 

一部 抜粋

ここにあったバナナは父親が植えたものだったんだ、1973年だよ。
父親が私にこの地を譲ってくれて、いままでこのバナナの面倒をみてきたんだ。バナナが切り倒されて心が痛むのは当然……泣きたい気分だったよ。
ここは私たちの生活の糧で、毎週バナナを収穫して、塩やバゴーン(小エビの塩辛のような調味料)なんかを買えていたけど、もうそれもなくなっちゃったよ。

そう静かに語ったのは先住民族カリンガ出身の青年。彼の案内してくれた農地には、切り倒されたままの無惨なバナナの姿が一面に広がっていました。
12月初め、その地で約40年間、彼ら家族の生活を支えてきたバナナのほとんどが、この農地の所有権を主張する第三者によって切り倒されてしまいました。

セラード開発プロジェクトとモザンビークのProsavana

 

ブラジルのセラード開発の問題点についても知見が深い、印鑰氏が、モザンビークにおける JICAプロジェクトについて、ブログに記事を掲載しています。(2011/11/17)

http://blog.rederio.jp/archives/1295

プロサバナ計画に関する Justiça AmbientalおよびFOE モザンビークの立場


   プロサバナは、プロデセール(PRODECER)、すなわち1970年代以降にブラジルのセラードにおいて行われた日本ブラジル農業開発計画に着想を得たものである。ブラジル、日本、モザンビークの各国政府によって成功例として引き合いに出されるプロデセールは、外国人(訳者注:ヨーロッパ系や日系移民とその子孫)に対する土地の分配と所有を促進し、その結果、ブラジルは海外において不当な手段で土地を奪う行為の熱心な促進者となった。
 
6500万人のブラジル人が食料危機に直面し、数百万人の人々が生存手段を保証す食料生産のために土地へのアクセスを求めるブラジルにおいて失敗した農業開発モデルを、ブラジルはプロサバナを通じてモザンビークに輸出しようとしている。この経験は、農民の生活森林、そして同国の生態系に及ぼしたインパクトと比較するとき、ブラジルのモデルにおける利益が無意味であることを示している。
 
プロサバナ計画は、「緑」という洗練された言葉によって巧みに装飾され、モザンビーク人および国際社会に「持続可能な農業開発」計画として提示されたが、同時にもたらされるであろう社会的かつ環境的インパクトの可能性は完全に除外された。しかしながら、この規模の開発計画は、共同体の再移転が必要となることが予測されるが、当事者である共同体がその事態について僅かにあるいは何も知らないことが懸念される。本件は、農民や現地の共同体を包摂することなく極めて高い次元で立案・決定されたものである。
 
日本は、プロサバナを通じて国外における安価な農産品の新たな供給源を確保しようとしている。その最終目的は日本や中国といったアジア市場への輸出である。 ブラジルは、プロサバナを関連生産者および起業の拡大、技術協力、そして格好の投資対象と見なしている。
 
そしてモザンビークにとっての利益は何であろうか。 本件の推進者たちにとって根本的な問題は、ナカラ回廊のほぼすべての土地が農民によって占有されているということである。同地域は国内でも最も人口が密集する地域である。つまりは肥沃な土地と十分な降雨が数百万人の農民が働き、豊富な食料を生産することを可能にしているのである。ナカラ回廊は同地域の穀倉地帯として知られ、北部諸州の住民らに食料を供給し、数百万世帯の生存を可能にしている。
 
プロサバナの正当化と意図は、土地の接収を促進し、その土地に依存する数百万の現地の農民を搾取することにある。プロサバナは、市民社会組織、なかでも全国農民連合(União Nacional de Camponeses: UNAC)によって既に議論され、否認された。UNACは1987年に設立された小農部門の農民による運動であり、モザンビーク政府によってパートナーとして認識され、農民にとっては全国レベルで自らの利害を代表する団体として認識されている。この25年間、UNACは土地と自然資源に対する農民の権利や、農業分野における公共政策をめぐる議論において農民組織の強化に必要不可欠な役割を果たしてきた。86,000名以上の個人会員、2,200の協会および共同組合、83つの郡レベルの連盟、州レベルでは7つの連盟と4つの支部を擁している。
Justiça Ambientalはプロサバナ計画に対するUNACの反対声明を支持する。
 
Justiça AmbientalおよびFOEモザンビークは以下の点において、プロサバナ立案と実施の全ての過程を性急に非難する。
1. 上意下達(トップダウン)式の政策の移入に基づき、公開されている情報は現在に至るまで不完全であり、不明瞭である。
2. 本件は、「持続可能な農業開発」として暗示的に小農や農民組織を主な対象としているように思われるが、共同体の移住と土地の収奪が予測される。
3. ブラジル人農場経営者らの参入は、モザンビーク人農民を安価な労働力になり下がることを余儀なくする。
4. 休耕地という土地利用の在り方に基づき、実際には利用可能な状態にない数百万ヘクタールもの土地を必要としている。
5. 本件の立案と実施によって農民が受けられる恩恵は不明瞭である。
6. 本件は、概して農民と地域社会の土地の接収を加速させる形で構想されている。
7. 土地所有を危険に晒す状況を引き起こし、「土地利用に関する権利(Direito de Uso e Aproveitamento de Terra, DUAT)」に示された農民の諸権
利を脅かすものである。
8. 大規模な利害が絡み、汚職と利害対立を悪化を加速させる。
9. その生活を全面的に農業生産に委ねている多くの現地の共同体の不安定な生活条件を悪化させるものである。これらの共同体は、耕作すべき土地なくしては、生存のための代替手段もなく、その結果、本件は大規模な農村人口の流出を引き起こす可能性がある。
10. 本件は、高度な機械化と、化学肥料や殺虫剤といった化学製品の過剰な使用が見込まれ、土壌と水質の汚染が予測される。
11. EmbrapaがMonsantoとの関係が予測されるにもかかわらず、遺伝子組み換え作物の使用の如何については決定的に透明性を欠いている。
 
 
我々は、モザンビーク国家が、モザンビーク共和国憲法第11条に明記された合意に基づき、その主権を全うし、国民の利益の擁護のために主導的役割を果たすことを要求する。
 
さらに、我々は、モザンビーク政府が、モザンビーク国民とりわけプロサバナに最も影響を受け、かつモザンビーク国民の大半を占める農民の希望、憂慮、そして必要性を考慮し、プロサバナの評価を見直すことを求める。既に提案された文脈において、プロサバナは、食料に対する主権、土地や水資源へのアクセス、そして数百万世帯のモザンビーク人の社会構造を危機に曝し、国民の未来を破壊するものであ
る。
 
 
2013年1月 マプトにおいて

日本語訳文はは舩田クラーセンさやか氏より提供されました。

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