まにら新聞(11月5日付け)の記事を、許可を得た上で転載します。
まにら新聞11月5日
--
転作に反発
日系企業のバイオエタノール事業で、一部農民がサトウキビへの転作に反発
http://www.manila-shimbun.com/photo204756.html
転作の進んだサトウキビ畑(手前)と水田(奥)=10月16日、ルソン地方イサベラ州サンマリアノ町で写す
ルソン地方イサベラ州で、伊藤忠商事と日揮が出資するサトウキビを原料とする国内最大のバイオエタノール事業。地元農民の知らないうちに、コメやトウモロコシ畑から、サトウキビ畑に転作されるケースがあり、一部農民から反発が起きている。
こうした事情について、エタノール工場にサトウキビを供給する地元企業「エコフューエル・ランド・ディベロップメント」の担当者は「問題は把握している。これまでに、契約後に問題が発覚した農地約200ヘクタールを放棄した」と述べた。今後も、問題の所在がはっきりした農地は放棄する意向だ。一方で「我々は、土地の所有を示す文書に基づいて契約した。農民が土地の所有を示す文書を持ってこないので、解決が進まない。我々も被害者だ」とも主張した。
事業を推進する合弁企業「グリーン・フューチャー・イノベーションズ」の徳田慎一チェアマンは「イサベラ州の土地2万5千ヘクタールで、タバコの栽培をしているフィリピン人の事業パートナーから、ここなら大丈夫、と説明を受けた。土地問題があるとは知らなかった」と述べた。
イノベーションズ社が、同州サンマリアノ町の工場で、年間5万4千キロリットルのバイオエタノールを生産。エコフューエル社が、工場から半径約30キロの地域で、1万1千ヘクタールの土地を農家から借り上げ、サトウキビを栽培して、工場に供給する計画だった。
イサベラ州の農家は、自作農として、主にコメとトウモロコシを栽培してきた。しかし、地元有力者が、農地の所有を示す文書を用意し、エコフューエル社と賃貸契約を結んでしまった。多くの農家は、農地改革法に基づき、農地を分配されていたが、農地の所有を示す文書を取得していなかった。
工場から約30キロ離れた同州デルフィンアルバノ町で、トウモロコシを栽培してきた男性、サムラ・ラミルさん(43)は「知らない間にサトウキビを植えられた」と憤る。自身の農地13ヘクタールのうち、3ヘクタールがサトウキビ畑に変わったという。損失は1回の収穫当たり、豊作なら12万ペソ、凶作でも3万ペソになる。
サトウキビ畑への転換で農地1・5ヘクタールを失ったという農家の女性、メルリーナ・ヘルナンデスさん(43)によると、同町の土地問題は、エタノール事業が始まる前からあった。コメを作付けしていたヘルナンデスさんの農地は、2007年ごろ、中国企業と地元有力者が賃貸契約し、トウモロコシ畑に転換されてしまったという。ヘルナンデスさんは「昔のようにコメを植えたい。元の農地に戻してほしい」と訴えた。
エコフューエル社によると、農家から借り上げ予定の1万1千ヘクタールのうち、10月末までに8千ヘクタールを確保した。契約農家は約3千人という。
(以上)
0 件のコメント:
コメントを投稿