2011年7月31日日曜日

9月2日 第3回勉強会 サウジアラビア、モザンビークなどへの対外農業投資

対外農業投資=農地収奪に関する勉強会 第3回のご案内

資料の準備などの都合もありますので、参加を希望される方は下記連絡先までお知らせ願います。

(1) テーマ:対外農業投資に関わる投資国、被投資国における現状と課題

 ―サウジアラビア、ウクライナ、モザンビーク、タンザニアを対象に

(2) 日時:2011年9月2日(金) 18時~20時半(開場17時半)

(3)場所:お茶の水 総評会館501会議室 

     http://www.sohyokaikan.or.jp/access/index.html

(4) 講師:清水徹朗氏(株)農林中金総合研究所 基礎研究部副部長

 講師の清水氏は農協系の農林中金総合研究所に所属し、最近はTPP、食料問題などを中心に研究活動を行っている。最近農水省の委託を受け、モザンビ-ク、タンザニアの食料自給に関する現地調査を行い、併せてこの間の対外農業投資の先鞭をつけたサウジアラビアを訪問し投資国としての戦略などの調査も行った。更にヨ-ロッパの新たな穀倉地帯として投資対象となっているウクライナでの動きもフォローしている。

(5)報告会の主たる内容(仮):

  ①被投資国としてのウクライナ、タンザニア、モザンビ-クにおける農業・食料問題の現状と課題

  ②投資国としてのサウジアラビアの食料戦略と対外農業投資

  ③対外農業投資・農地収奪をどう捉えるか

  ④ その他

(5)参加費:500円

(6)主催:(仮)対外農業投資・農地収奪を考える会

        (連絡先:青西靖夫 <cade-la@nifty.com>)

    関連サイト:http://landgrab-japan.blogspot.com/

フィリピン:バイオ燃料プロジェクトに関連して

1)雇用創出どころか、労働者すら見つからず、果てはミンダナオから連れてきたものの・・

7月11日に現地で報道されたイサベラ州のサトウキビ・プロジェクトについての状況
 現地ニュースの日本語での概要説明を整理
・伊藤忠商事及び日揮が出資するGFII社にサトウキビを供給する役割を担うECOFUEL社がミンダナオ島の農業労働者、97名を手配。
・しかし約束の条件は履行されず、賃金も安く、帰郷を求める
・労働者は帰郷旅費も工面できず、支援を求めている状況
20 laborers mula Mindanao, dumulog sa Bombo Radyo para ireklamo ang kompaniya sa Isabela
http://www.bomboradyo.com/index.php/news/latest-news/61041-20-laborers-mula-mindanao-dumulog-sa-bombo-radyo-para-ireklamo-ang-kompaniya-sa-isabela
97 mga trabahante sa Sarangani, GenSan ug Polomolok nagpatabang sa Bombo aron makauli
http://210.5.68.115/index.php/news/regional-news/cebuano-news/61016-97-mga-trabahante-sa-sarangani-gensan-ug-polomolok-nagpatabang-sa-bombo-aron-makauli

 地域に適切な雇用を生み出すこともできず、外部の労働者にも見放される。これは適切な労働条件での雇用を実現できない、経営的になりたっていないことを証明しているのではないだろうか。

2)サトウキビ労働者を運搬中のトラックが転倒、一人が死亡

 現地7月2日付け報道で、リンクは既に切れていて、見つけられないのですが、これも説明によると次の通り
・イサベラ州サン・マリアノ町ビナトゥッグ村クラウィタン集落で、大型トラック1台が横転し、1名が死亡、40名超が負傷。
・トラックはエタノール工場の労働者をサン・マリアノ町の中心部に連れて行く途中だった。
・運転手は過失致死傷害罪で、刑事裁判にかけられる予定

1 patay, 40 sugatan sa pagbaligtad ng 6x6 truck sa Isabela       (リンク切れ)

 現地の道路状況の悪さから、サトウキビの搬出時の事故が気になっていたが、その前に建設中の工場に移動中の労働者が事故に遭うとは。日本であればこれは労災の適用対象と考えられるが、運転手の責任で終わってしまうのだろうか。

     

3)途上国のバイオマス事業の落とし穴、日本企業参画のフィリピンのバイオ燃料プロジェクトが現地で中止を求める反対運動に直面(7/19)有料記事

http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20080392&newsid=SPC2011071982784&pg_nm=7&sai1=0&new1=0&news1=1&icate=0&yunw=1

 6月の報告会の報告記事である。有料記事なので転載はできないが、”FoE Japanの報告に対して伊藤忠商事の広報部は、「FoE Japanから問題の説明を受けたのは事実。現地パートナーを通じて事実関係の確認を急いでいる”と文末に記されている。

 事実関係についてはFoEなどとも再度伊藤忠商事と会合をもって確認したいと考えている。

 

4)国内最大のバイオ燃料工場:日揮と伊藤忠、来年5月稼働へ(7/29)

http://news.nna.jp/free/news/20110729php002A.html

先行きの不透明なこのプロジェクトについて、現地情報などを含まない、プレスリリースのような記事。この時期になぜこのような記事がでるのか、不思議である。
「工場では年間約70万トンのサトウキビを使用する。提携する地場企業エコフューエル・ランド・デベロップメント(ECOF)が、農家との委託契約や農地のリースにより、JR山手線内の面積の約1.5倍に相当する1万1,000ヘクタールの土地で、新たにサトウキビの栽培に着手。収穫期をずらすことで常時工場に供給する。全量を市場を通さず調達することにより、国内の砂糖市場に影響を及ぼさず、また市場価格に左右されない安定的な供給が見込めるといったメリットがあり、約3,000世帯の継続的な雇用創出も期待できるという。」

現場の実態としてはこのサトウキビ生産に問題山積。

 

まとめ

青西

2011年7月15日金曜日

TPP 関連情報

1)TPP反論パンフ作成 広報・学習で活用呼び掛け 全中  (07月08日)
パンフレットはA4判、カラー16ページ。価格は1セット(10部)100円で、別途送料がかかる。
 問い合わせは、全中WTO・EPA対策課またはJA都道府県中央会まで。
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=7830

2)日本がTPPに参加したら 2.7億人の飢餓新たに 全中調査  (07月14日)
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=7954

3)【TPP―人口・食料】 米700万t輸入で2.7億人が飢餓に  (財)アジア人口開発協会常務理事 楠本 修氏  http://www.jacom.or.jp/tokusyu/2011/tokusyu110602-13692.php

3)TPPで警鐘 政策の選択肢狭める NZ・オークランド大学法学部教授のジェーン・ケルシー氏
   http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=7920

   110714 ジェーン・ケルシー教授講演会 2/2 http://www.ustream.tv/recorded/15983752

   110714ジェーン・ケルシー教授インタビュー http://www.ustream.tv/recorded/15985959

   110714 ジェーン・ケルシー教授記者会見 http://www.ustream.tv/recorded/15984869

4)国際農業・食料レター 2011年(№160) 全国農業協同組合中央会
   〈今月の話題〉
  ・環太平洋連携協定(TPP)交渉における関税撤廃からの例外扱いの可能性
  ・EU韓国FTAの農業分野での妥結内容から何を学ぶべきか
   http://www.zenchu-ja.or.jp/food/pdf/1310540133.pdf

5)国際農業・食料レター 2011年(№159

  〈今月の話題〉. ・年内合意が困難視される最近のWTO交 渉の動きについて. ・TPPがもたらす様々な悪影響について
   http://www.zenchu-ja.or.jp/food/pdf/1306377444.pdf

6)環太平洋経済連携協定(TPP)の概要とその我が国への影響
www.asean.or.jp/ja/invest/...01.../1_Mr.%20Junichi%20Sugawara.%20pdf

7)US-PHL: Trade deal entry offeredposted 12-July BusinessWorld | July 10, 2011
http://www.bilaterals.org/spip.php?article19876&lang=en

8)’It takes nine to tango’ in Pacific free trade plan New Zealand Herald, Auckland,8 July 2011
http://www.bilaterals.org/spip.php?article19842&lang=en

 

★☆★ AMネットは今年、設立15周年を迎えます! ★☆★

7月24日(日)13:30-16:30
 「ホントはどうなの?TPP」第6回
  @大谷婦人会館(京都市下京区諏訪町通六条下る上柳町215)
   スピーカー:
    ・池住義憲(立教大学教授、イラク平和訴訟代表、元アジア保健研修所・愛知)
    ・今村和彦(WOW! Japan、獣医師・福岡)
    ・澤口敬太(偽百姓・鳥取)
    ・高濱黄太(尼崎市議、AMネット・兵庫)
    ・松平尚也(AMネット、アジア農民交流センター・京都)
     他
   コーディネーター
    ・神田浩史(AMネット、泉京・垂井・岐阜)
   
7月29日(金)19:00-21:00
 「ホントはどうなの?TPP」第7回
  @大阪市立大淀コミュニティセンター(予定)
   スピーカー:
    ・石中英司(AMネット理事)
    ・神田浩史(AMネット理事)
     他

 詳しくはこちらのブログで → http://am-net.seesaa.net/

 

以上 AMネットの松平さんからの情報です

年金ファンド、世界のランドグラブの主役へ(私たちの年金が農地を収奪!)

年金ファンド、世界のランドグラブの主役へ

GRAINのサイトに掲載された記事

Pension funds: key players in the global farmland grab
http://www.grain.org/articles/?id=80

の翻訳です。翻訳はアフリカ日本協議会の会員の方です。どうもありがとうございます。

 

GRAINサイト上の関連ページは以下の通りです。

仏語 Les fonds de pension : des acteurs cles dans l'accaparement mondial des terres agricoles http://www.grain.org/articles/?id=81

英語 Pension funds: key players in the global farmland grab http://www.grain.org/articles/?id=80

西語 Fondos de pensiones: actores claves en el acaparamiento mundial de tierras agricolas http://www.grain.org/articles/?id=82

 

年金ファンド、世界のランドグラブの主役へ

20116月、グレイン

大規模な農地買収により世界各地に紛争や論争が巻き起っています。 調査の数が増えるにつれ、これらのプロジェクトは地域社会に悪影響を与えるばかりか、世界の食料と環境に関して全く不適切な農業の形を促進して深刻な危機に陥れていることも分かってきました。1 それでも、相変わらず、ファンドは磁石に引きつけられるかのように外国の農地に押しかけています。みんなこれらの投資からリターンが期待できると説明されているのです。農地に利益を求める者たちの中には、年金ファンドがいてその主役の一角を担っておりこの分野に数十億ドルを投資しているのです。

これらの年金ファンドは現在、23兆ドルの資産を動かしていますが、そのうちの1000億ドルはコモディティに投資しているようです。このコモディティへの投資金額のうち50億〜150億ドルが農地の取得に向けられています。2015年までには、これらのコモディティと耕作可能地への投資は倍増するものと思われます。

年金ファンドとはそもそも勤労者のために機能し、彼らに代わって退職に備えた貯蓄を後々まで守るものです。その目的だけであれば、投資についての戦略や判断は、公の監督やその他の一定の規制を受けるべきです。言い換えれば、年金ファンドでは、自分たちのお金の運用の問題であることをいい口実にして、みんなのお金でランドグラブ(農地収奪)に他に先んじて投資できるという恐らくこれまでにない類のファンドです。このため、年金ファンドは、社会運動、労働組合や市民団体にとっての特別な関心の的になっています。

clip_image002[4]

年金の規模と影響力

今日の年金は、多くの場合、労働組合、政府、個人、雇用主に代わる民間企業によって運用されています。これらの企業は、勤労者が定年退職すればその貯蓄分が彼らに毎月支払われるよう、皆さんがその年金のために貯蓄しているお金を守り、"増やす"必要があります。仕事があって、退職後のために多少は振り向けられる幸運な人たちは、皆、おそらく何らかの企業によって運営されている年金を所持しています。世界全体ではこれは膨大なお金になります。年金ファンドは現在、23兆ドルの資産を動かしています。2 世界最大の年金ファンドは、日本、ノルウェー、オランダ、韓国そして米国(1を参照)といった政府の手中にあります。

1:世界の上位20の年金ファンド(2010

ランク

ファンド

総資産(百万ドル)

1

政府年金投資

日本

1,315,071

2

政府年金ファンド - グローバル

ノルウェー

475,859

3

ABP

オランダ

299,873

4

国民年金

韓国

234,946

5

連邦政府退職貯蓄貸付組合

米国

234,404

6

カリフォルニア州公務員

米国

198,765

7

地方自治体職員

日本

164,510

8

カリフォルニア州立教師

米国

130,461

9

ニューヨーク州共通

米国

125,692

10

PFZW(現PGGM)

オランダ

123,390

11

中央積立基金

シンガポール

122,497

12

カナダ年金

カナダ

122,067

13

フロリダ州委員会

米国

114,663

14

国家社会保障

中国

113,716

15

年金ファンド連合会

日本

113,364

16

ATP

デンマーク

111,887

17

ニューヨーク市退職積立

米国

111,669

18

FPEG

南アフリカ

110,976

19

従業員積立基金

マレーシア

109,002

20

ゼネラルモーターズ

米国

99,200

出典:ペンションインベストメンツ 201096P&I /ワトソン世界タワーズ300

年金は、特に、欧米諸国において、機関により運用されるにせよ或いは個人の手中にある年金勘定の問題であるにせよ、直近の金融危機によって相当ひどい影響を受けました。このため、年金制度の積立基金やマネージャーは、それぞれのクライアントのために長期の保有に組み直そうとしています。農地は、彼らにとり非常に魅力的な問題です。この農地の場合には、必要なリソースは限られているのに増える世界人口を養わなくてはならないため、彼らは、これらの農地は、人口に応じて成長する良好な「ファンダメンタルズ」と呼ぶ需要と供給の分かり易い経済モデルであるものと理解しています。 これらのファンドのマネージャーたちは、オーストラリア、スーダン、ウルグアイ、ロシア、ザンビア、ブラジルなどの国々において土地価格が比較的安いと思っています。彼らは、これらの価格が(大きなのは賃金 )がインフレペースとなっているにもかかわらず、彼らの投資ポートフォリオのコモディティはそれほどではないために多様な収入増がもたらされているものと考えています。彼らは、農地価値の上昇とその間の収穫作物、多くの牛や食肉製品の販売から生じるキャッシュフローの中に長期的な利益を見出しているのです。みなさんでも、もし、30年後に勤労者に支払わなくてはならない金銭を手にしたことを思えば、そのロジックは理解できるでしょう。

これらのファンドにこのような重大な役割を与える要因の一つはスケールです。年金ファンドが、食料と農地を含むコモディティへの投資を開始したのは最近のことにしか過ぎません。3 現在の状況を考えると、一次産品の価格が食料品と同様にとても大きく上昇しており(1を参照)、農業は機関投資家にとり利益の源泉であることには間違いがありません。4

1:農業で金儲け - 商品取引所における取引の急増(左)と食料品価格高騰(右)

clip_image004[4]clip_image006[4]

出典:国際決済銀行(G)と国連食糧農業機関(D

バークレイズキャピタルによると、機関ファンドの一次産品への投資は十数年前には60億ドルに過ぎなかったのに現在では約3200億ドルにもなっています。ヘッジファンドはさらに600億〜1000億ドル多くなっています。これらの数字は、今後数年間で倍増すると予想されています。5

これには、年金ファンドが一般コモディティ分野(上記の3200億ドルのうち1,000億ドル)並びに特に農地の分野で共に最大の機関投資家である限りという含みがあります。6 業界の多くの調査によると、年金ファンドのマネージャーたちは、その投資リターンが10〜20%に達しうるというまたとない新たな資産水準にある農地への投資に懸命になっています。7 この3年間にロンドンやニューヨークを経由してチューリッヒからシンガポールへと言った具合に豪華ホテルで開催された農業投資促進を目的とした派手なセミナーにちょっとでも参加した人たちであればこのことには驚かないでしょう。例えば、先月マンハッタンのウォルドーフ・アストリアで開催された世界投資会議を例に取りましょう。この会議は、ブンゲ社からドイツ銀行にいたるまで約600名の投資家を引き寄せました。全体で、このグループは、世界中で108億ドルを占めます。これらの投資家は今後3年間にわたり181億ドル(67%増)になるまで自分たちの保有分を増やしていく計画です。農地がこれらの企業の買収戦略の中心となっていることが多いのです。これらのほぼ3分の1(30%)近くが年金ファンドでした。

今日、このような農地などのコモディティは、平均して、年金ファンドのポートフォリオの1~3%を占めています。8 しかし、これから2015年までに実際に行われる戦略的な意思決定によってこの数字は3〜5%にまで上昇して「最高値」は更新されるものと見られています。9

1とか3とか、5%といった数字は非常に小さく見えるかもしれませんが、我々はわずか1%でも数十億ドルに相当しうる膨大な資金を扱わなくてはならないのです。表2は、さらに一歩詳しく年金ファンドが提示する農地への投資ポートフォリオに関する事例につきいくつか確認を試みたものです。しかし、ご多分にもれず、はっきりしたデータは殆どなくその入手も簡単ではありません。

2:農地に投資する年金ファンドの例(2010-2011年)

ファンド

運用資産総額

農地の全体投資に占める割合.(左記に占める割合)

プロジェクトの現在の状況

AP2(第二スウェーデン国民年金ファンド)

2,200億スウェーデンクローネ[346億ドル]

米国、オーストラリア、ブラジルにおける穀物用地に5億ドル(1.4%)

TIAA - CREFとの提携関係が予定されている。最初の農地進出は、2010年にさかのぼる。

APG(国家公務員年金ファンドの運用)、オランダ

2,200億ユーロ
[ 3,140億ドル]

10億ユーロ

0.5%)
[14億ドル]

増加を予想

アセンションヘルス、USA

150億ドル

最大11億ドル(7.5%目標)

実質資産の7.5%の目標を達成するために、初めて農地に投資するものの、現在は未達成のまま

カルパース(カリフォルニア州公務員退職年金)、USA

2,314億ドル

約5,000万ドル(0.2%)について:
-ブラックアースファーミングに120万ドルを直接投資
: 4,750万ドルはゴールデンアグリソース、インドフード、IOIコープ、Olam、サイムダービー、ウィルマーといった世界中に巨大な持ち分の農地を有するアグリビジネス会社に投資、

現状

ダウケミカル、米国

 

数字不明

農地は、最近追加された。米国保有分につき目標年間リターン:8~12%

ニュージーランド老齢退職年金ファンド

174.3億ニュージランドドル
[142億米ドル]

500万ニュージーランドドル(3%)
[4.07億米ドル]

3%の割り当ては、ファンドの戦略的な意思決定。 国有地の最初の購入が始まったので、海外での農業保有が続くことになろう。

全国教員ファンド(CalSTRS?)米国

 

米国 5億ドル

-10億

 

PGGM(介護福祉年金ファンド)、
オランダ

900億ユーロ
[1280億米ドル]

数字不明

2011年に農地への割り当てを増やす可能性あり

PKA(年金生活ファンド)、デンマーク

250億米ドル

3.7億米ドル(1.5%)

2012年4月まで。2011年6月に主にザンビアを対象としたシルバーランズファンドルクセンブルク(シルバーストリートキャピタル)に5000万ドルの投資が初めて行われた。

某国政府職員年金ファンド"

 

20~50億米ドル

近く予定

ソノマ郡退職システム協会、米国

   

UBSのアグリベストファームランドファンドに3%割当を予定。

TIAA - CREF(教職員保険年金連合会 - 大学年金株式基金)、米国

4,260億ドル

北米、南米、オーストラリアや東欧の400農場で20億米ドル(0.5%)

現在の状況。10%の年間リターンを約定。

これらを厳しく非難しよう

大方、私たちには次のことが分かっています。

  • 最大級の機関投資家たちは耕作可能地を含む農業関連コモディティへの投資を倍増する予定でいる。
  • 彼らはこの投資をとても迅速に実施するものと想定される。
  • このとてつもなく多額の新たな出資によって、食料品価格は世界中で再び上昇する。
  • 食料品価格の高騰で、貧しい地域社会、農村そして勤労者階級が思い切り手痛い打撃を受けることになろう。

年金ファンド自体のマネージャーを動かすことはおそらくそう簡単ではないでしょう。つまるところ、彼らは委託された資金を使ってお金を稼ぎ自らの本来の役割を忘れるないくことしか念頭にないのです。しかし、従業員の社会福祉を担当する組合や組織、年金ファンドの管理者、政府そして、投資や年金を充実させる方法に関係する戦略決定を担当する人たちに、農地や農業関連コモディティへの投資を止めてもらえると同時に止めてもらうよう彼らを説得するべきです。

米国では、ワシントン政策研究所(IPS)のサラアンダーソンが語る最近の成果が良い例となります。

家族農家、教会グループや飢餓撲滅協会の連合だけでなく、業界団体も一緒に、投資家たちがコモディティ・インデックス・ファンドから手を引くよう説得に向けたキャンペーンを開始しています。彼らの最初のターゲットは、コモディティにそのポートフォリオの25億ドルを振り込む予定でいたカリフォルニア州教師年金制度CalSTRSです。 ボイコット運動に続いて、この組織では、18ヶ月間にわたり農業資材に1億5,000万ドルしか投資せずに、潜在的な問題の調査を継続する予定になっています。10

この種の投資抑制キャンペーンでは、年金ファンドが海外で農地を購入しないことを確実にすることがその目的になり得るので、明らかに皆の手に届くところにあって大きな意味があるものと期待できます。同時に、これらによって、多くの国を目覚めさせて重要な2つの現実、すなわち、革新的な投資戦略と一般的な年金制度との両立を必要とする食料農業政策に関して再考を促すことに全体的な弾みをつける可能性があります。これらの利害関係は私たちにはとても荷が重すぎてこれらのチャンスを掴め切れません。

clip_image007[4]

追加情報

ウェブサイトFarmlandgrab.orgは、農地購入に利用される年金ファンドに関する記事やニュースを定期的に発行しています。より詳しく考察を行うにはhttp://farmlandgrab.org/search?query=pension+fund&sort_order=dateを参照してください。また、現在の食糧危機の背景にある、一斉に殺到にする農地支配に反発する人々への接触の様子やその体験についての証言も提供されています。

2011年4月に世界銀行の土地問題についての会議におけるTIAA - CREFのホセ・ミナヤのプレゼンテーションを見るには:http://vimeo.com/23314644

1 イギリス、サセックス大学、開発研究所で2011年4月6日から8日開催された世界規模での、ランドグラブに関する国際会議の文書を参照してください。

http://を.future-agricultures.org/index.php?option= com_content&view=category&layout=blog&id=1547&Itemid=978

ガーディアン紙に関するジョンヴィダルのレポート記事も参照してください。(http://www.guardian.co.uk/world/2011/mar/21/ethiopia-centre-global-farmland-rush);

フィルムアレクシス/マランさんの映画、「セール中の惑星」(http://farmlandgrab.org/post/view/18483);オークランド研究所のアフリカでの土地契約に関する調査(http://media.oaklandinstitute.org/land-deals-africa);2011年2月の世界社会フォーラムの参加者が執筆し、2011年6月にG20農業大臣たちに提出したランドグラブに反対するダカール要請(http://viacampesina.org/fr/index.php?option=com_content&view=article&id=606:g20-agriculture-non-a-laccaparement-alimen)並びに、2011年4月にラヴィアカンペシナ、FIAN、LRAN、WFFそしてGRAIN によって発せられた「信頼できる」とされる農地への投資に対する共同宣言(http://www.grain.org/nfg/?id=767)。

2 政府系ファンドは、比較してみるにおよそ4兆ドルの資産を持っています。

3 コモディティは、バルクで売買されている基礎的な商品とサービスであって、石油、金、米、コーヒー、銅またはビーフといったものです。「基礎的」とはそれらが他の財やその他のサービスを提供するための原料として利用できることを意味します。また、「バルクで」とは、任意の物品が均一性の高いレベルを示すと同時に多様な産地から来る可能性のある物品であることを意味します。それ故、1袋の米や1バレルの石油には、それらが同一の基本的な特性を持つ限り、複数の畑からとれるコメあるいは複数のポンプからくる石油を含めることができます。スイス政府向けに作成されたオンバリューインベストメントストラテジ―アンドリサーチ社による最近のレポートの中で利用されている分類によると、コモディティは先物契約、現物仕入品、(土地といった)「実在」資産と呼ぶもの、そして、生産財を所有する会社における利益配分の取得の形で取引されることが多いです。

Ivo Knoepfe、「責任のもてるコモディティ投資:機関投資家にとり問題となる争点と潜在的な役割」:スイス連邦、PRI並びにグローバルコンパクトの共同実施プロジェクト、チューリッヒ、2011年1月、3頁:(英語版はhttp://farmlandgrab.org/post/view/18339で入手可能)を参照して下さい。

4 一部の人たちがそのことをどんなに否定し続けようとも、投資銀行家から市民社会組織(CSO)に至るまでの多くの人々が、特に、2008年の金融崩壊からずっと現在に至るまでコモディティへの投資家たちが価格高騰を煽っている実際のやり方を取り上げて明らかにしました。

この問題に関してCSOが実施した比較的にアクセス可能な最近の分析の中で、「世界開発運動」の食糧投機に関する出版物(http://www.wdm.org.uk/food-speculation)並びに、オックスファムの耕作キャンペーンのために用意された資料(http://www.oxfam.org/fr/cultivons/dashboard)を参照してください。

5     Ivo Knoepfel、前掲書、P. 2 を参照してください。]

6 同上, 6ページ。

7 これらの土地契約の多くは、経済学で理解されている生産的な投資ではありません。そうではなく、これらは年金の形の資本についてリターンを生みだすように充当された金融プロジェクトなのです。英国、サセックス大学、開発研究所で、2011年4月6-8日に開催された世界規模のランドグラブに関する国際会議で発表された英語論文のヒューバート・コシェとミシェル・メルレの分析、「農地のランドグラブとその付加価値の分配:再来した土地貸出詐欺」、を参照してください。http://www.future-agricultures.org/index.php?option=com_docman&task=doc_download&gid=1174&Itemid=971

8 最大級ファンドの一部ではそのポートフォリオの7%までがコモディティに充当されました。

9     Knoepfel、前掲書、p. 14。

10 サラ・アンダーソン、「食料をポーカーチップにしてはならない」 IPS、ワシントンDC、2010年11月15日http://www.ips-dc.org/articles/food_shouldnt_be_a_poker_chip。詳細については、「飢餓を投機の対象にするのは止めよう」を参照して下さい。http://stopgamblingonhunger.com/?page_id=838(CalSTRSとの対話)。

責任者のいない行動原則には誰も責任などとりはしない

 5月10日付けの質問状に対する回答を農林水産省より昨日受け取った。日本政府が定めた「海外投資促進に関する指針」が現実的には全く意味を持たないことを確認するとともに、現在FAOなどで議論されている「責任ある農業投資に関する行動原則」も法的な拘束力を持たせない限り機能することはないだろうことを改めて確認するものとなった。
 
 「指針」では「政府及び関係機関は、本指針に基づいて海外農業投資の促進策を講ずるに当たり、以下の行動原則との整合性を確認する」と定められおり、それに基づいて2ヶ月以上前に、「土地収奪を引き起こす」という現地からの抗議の声に基づき、情報収集の状況と問題への対処について質問したものである。
 しかしながら回答は「申し入れの事実関係として、伊藤忠商事と日揮株式会社に伝達して事情を聞いた」というに留まっている。つまり、「指針」との整合性については全く確認されていない。
 法的な拘束力を持たせない限り、既存の国際法と明確に結びつ、その執行のための制度を整備しない限り「現地の人々にとって土地の収奪につながることがない」ような責任ある農業投資を進めることは非常に難しい。
 
 FAOでは早々にインターネットを利用したコンサルテーションを実施するようであり、ここにも是非声をあげていくことが求められている。
 http://www.fao.org/economic/est/investments/building-international-concensus-on-rai-principles/en/

 

開発と権利のための行動センター

青西靖夫

 

image

2011年7月5日火曜日

5月10日付けのイサバル州でのプロジェクトについての質問書:いまだ回答はない

日本政府が定めた「食料安全保障のための海外投資促進に関する指針」に基づき、5月10日付けで、フィリピンにおけるバイオエタノール製造・発電事業について、農林水産省及び外務省に対して質問書を送付した。

しかしいまだ回答を受け取っていない。このバイオエタノールプロジェクトの問題については、このブログでも既に追加的に報告しているが、「指針」というものが本当に地域住民の権利を保障するために有効に機能しうるのかどうか、一つの試金石と考えられる。

開発と権利のための行動センター

青西

以下 質問書

2011年5月10日
外務大臣    松本剛明殿
農林水産大臣  鹿野道彦殿

外務省   経済安全保障課
農林水産省 食料安全保障課
農林水産省 国際協力課
                                    質問書

 2010年11月24日付で送付させていただきました質問書におきまして、フィリピンにおけるバイオエタノール製造・発電事業について質問させて頂きました。[1]その後2011年1月24日付けで農林水産省より頂きました回答の中で、「バイオエタノールのための投資についても、食料安全保障に影響を生じることがないかどうか情報収集を行っていきたい」との回答を頂きました。

しかしこのバイオエタノール製造・発電事業について、2月23日付けで現地の農民組織等が声明文を公表し、土地収奪を引き起こすものであるとして告発しております。[2]

 つきましては、このフィリピンの事例に関連しまして、日本政府としては、「食料安全保障のための海外投資促進に関する指針」を踏まえ、どのように情報収集を行い、どのような対処をなされたのか、またどのようにその結果を開示されているか、あらためて公表して頂きたくお願い申し上げます。

[1] 11月24日付けの質問書において取り上げた事例
事例1)フィリピンにおけるバイオエタノール製造・発電事業について
「伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:岡藤正広、以下「伊藤忠商事」)および日揮株式会社(横浜本社:横浜市西区、代表取締役会長兼 CEO:竹内敬介、以下「日揮」)は、フィリピン事業パートナーと共同で、フィリピン最大級のバイオエタノール製造、および電力供給事業に参画いたします。事業の概要は以下の通りです。」
(以上下記サイトより転載)
http://www.itochu.co.jp/ja/news/2010/100408.html

[2]「サン・マリアノ町の農民及び先住民族、大規模な土地収奪に強く反対」
http://www.foejapan.org/aid/land/isabela/pdf/20110223.pdf

青西靖夫(開発と権利のための行動センター 代表)
大野和興(日刊ベリタ編集長)
近藤康男(アジア農民交流センター)
松平尚也(アジア農民交流センター)